妊娠はできるの?

がんになったときに、これから先、恋愛ができるのかという心配と同時に、「妊娠できるのかな」という思いもよぎりました。

結論としては、100%妊娠できないというわけではありません。

ただ、乳がんの治療中は、妊娠をする可能性は、ほぼありません。手術、抗がん剤治療、放射線治療を経て、私はいまホルモン療法をしています(乳がんとひとくくりに行っても、その症状や治療方針はひとによってさまざまですし、10人いたら10通りかもしれません)。

これは、ホルモン剤を投与して女性ホルモンの働きを抑制させることで、乳がんの再発を予防する治療です。このホルモン療法をしている間は、生理がきません。

いまのところ、このホルモン療法は10年間行う予定です。26歳でホルモン療法を開始したので、36歳まで続く予定です。ホルモン療法を終えると、1年ぐらいで生理が戻る人もいますが、戻らない人もいます。ですので、私もすぐ生理がくるかもしれないし、こないかもしれない……。それはその時になってみないとわかりません。乳がんとは関係なく、年齢的なものや様々な理由で妊娠しないことも考えられます。

いまの時代、結婚して妊娠して出産して……というのが当たり前ということではなく、多様な価値観のひとつにすぎないというのもわかっています。絶対結婚しなければならない、妊娠・出産だけが女性の幸せだと私自身が考えているわけでもありません。ただ、私の場合は、昔から「早くお母さんになりたいな」という願望があったので、病気になって、すぐに気持ちを切り替えられたわけではありません。

とはいえ、病気になってからは、「あまり先のことは考えても仕方がない!」というふうに思うようにもなりました。先のことを心配しすぎて、前に進めなくなるよりも、いま目の前にある目標や夢に向かって、全力で頑張っていこうと思っています。

まだ出会ってもいないパートナーとの将来について悩むのではなく、「何とかなる!」「そのときがきたら考えよう!」と思っています。

密着取材のときの矢方さん。自分がどうしたいのか、何が大切なのかを考えるようになったという 写真提供/NHK

ないものにくよくよしたくない

もちろん、胸が片方なくなった時はショックだったし、もう温泉には行けないなとも思いました。私は温泉がすごく好きで、月に一度は母と近くのスーパー銭湯に行っていたのですが、それも定期的に行けなくなるのかなと、ちょっと悲しかったのです。

でもそのあと、いろいろ試してみてわかったのは、湯船に入るギリギリまで体にタオルを巻いておいて、お湯に入る瞬間に取れば、誰にもわからないし、他人からジロジロ見られることもないということ。それほど気にすることはないんだと思うようになりました。