2019.04.25
# 天体観測

あの「ブラックホール撮影成功」世界各国の記者発表を見比べてみたら

今月の科学ニュース「例の質問の本質」
熊谷 玲美 プロフィール

記者発表を見比べてみると…

今回、世界6カ所で同時に開かれた記者発表の動画は、すべてインターネットで今も見ることができるこちらのようなリンク集がある)

中国と台湾は中国語、チリはスペイン語のため、残念ながら内容は理解できなかったが、アメリカとベルギー、日本を見比べてみると、いくつかおもしろい点があった。

国立科学財団(NSF)主催のアメリカの記者発表では、プロジェクトディレクターのシェパード・ドールマン氏が発表を終え、質疑応答に移る前に「このプロジェクトに関わった皆さん、ご起立ください」と呼びかけた。

会場全体が関係者に長い拍手をおくる様子(その場面の動画はこちらは、映画のワンシーンのようだった。

続く質疑応答では、大手メディアの科学専門記者とともに、若者が2人質問した。

そのうちの1人、「EHTは今後の国際共同プロジェクトのモデルとなるものでしょうか」と質問したのがアナ・ハンフリーさん(質問部分の動画はこちら。今年3月には、70年以上の伝統がある科学コンテストで1位になり、賞金2500万ドルを獲得した高校生だ。

これほど重要な記者発表の場で高校生に質問の機会が提供されていて、ハンフリーさんも記者たちにまじって堂々と質問しているのを見ると、どこかすがすがしい思いがした。

ブラックホールワシントンでの記者発表のようす Photo by Getty Images

そんなアメリカと対照的だったのが、ベルギー・ブリュッセルでの記者発表だ。

欧州連合(EU)の行政機関にあたる欧州委員会が主催した記者発表では、EU全体としての新たな長期研究開発プログラムが2020年から始まるタイミングとあってか、質疑応答はブラックホールそのものではなく、今後の研究政策がらみの質問から始まった。

研究担当大臣にあたるモエダス委員も締めくくりのスピーチで、「今回のプロジェクトのようにリスクを取ることが、困難な状況にあるヨーロッパにとって重要なことだ」と語り、政治家に対するメッセージが強く感じられた。

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