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ついに「ヤミ専従問題」にケリをつけた神戸市が抱える新たな課題

令和に持ち越してはならない

神戸市はこの春、市職員労働組合の役員が勤務実態がないのに給料を不正に支給されていた、いわゆる「ヤミ専従」問題に区切りを付けた。先月まで開催されていた市議会で、ヤミ専従の温床となっていた、組合費を市職員の給料から天引きで徴収する制度を来年度から廃止することが決まったためだ。

市関係者の間では「神戸市の『最大の暗部』といわれた労使の癒着が取り払われる大きな一歩」(市幹部)と評価する声も出ており、今月7日に投開票された神戸市議選でも、この条例案を支持したかどうかが会派のアピールポイントになるなど注目を浴びた。

 

「天引き廃止」をめぐる争い

ヤミ専従とは、中央官庁や自治体の労働組合の役員が、正規の手続きをとらないで勤務しているように装い、本来無給のところを、給料を受け取りながら組合活動に従事することを指す。

神戸市では昨年9月、「組合幹部が勤務時間中に席にずっといない」といったネットの書き込みなどにより問題が発覚した。久元喜造市長の下で実態調査が始まり、市側と行政職員からなる「神戸市職員労働組合」(市職労)の異常な癒着関係にメスが入れられた。その経緯は、現代ビジネス「神戸市を揺るがすヤミ専従…なぜ『亡霊』はこの街で生き残ったのか」(2月12日公開)でもすでに詳報している。

その後、2月12日から3月20日まで開かれた神戸市会本会議で、自民党と日本維新の会が「天引きは組合員の意志に反している」と主張し、「天引き廃止条例案」を提出した。

一方で共産党と、自治労を支持母体とする旧民進系のこうべ市民連合は「不当な労使介入につながる」「労働組合を弱体化させる」とこれに反対。最終的には、廃止時期を来年度にずらすことを盛り込んだ修正案が可決された。

神戸市のヤミ専従問題をめぐっては、これまで組合側に不正に支払われた額は少なくとも年間約3000万円、累計では数億円規模にのぼるとされる。不適切な給与の支給が確認された市職労などの組合役員28人は、遅延利息を含む1億7560万円を市側に全額返還している。

市議会での条例可決によって一応の決着をみたヤミ専従問題だが、議会閉会後に実施された4月7日投開票の統一地方選でも大きく取り上げられた。

市議会でヤミ専従問題追及の急先鋒となった自民党候補は「組合に支援してもらっている政党では、この問題は指摘できない」と左派系政党を批判し、業績をアピールした。一方で組合の支持を受けてきた、こうべ市民連合の候補は演説でヤミ専従問題を取り上げることすらできず、自民党にとっては格好の攻撃対象となった。

事情をよく知る市幹部は「今回のヤミ専従問題追及は、2015年に発覚した政務活動費の不正流用問題によるマイナスイメージを結果として回復することにつながった」と指摘する。

この問題は、自民党系の会派「自民党神戸」(すでに解散)が架空の領収書と虚偽の収支報告書を市議会に提出するなどして、政務活動費をだまし取ったというもの。市議会から刑事告発を受けた神戸地検が市議3人を詐欺罪で在宅起訴し、全員が議員を辞職。18年2月に有罪判決が確定している。

だまし取られた政務活動費は会派の裏金としてプールされ、陣中見舞いなど「第二の給料」として使われていた。市によると、すでに今年3月までに、不正と認められた全額の約6475万円が返還されたという。