風間八宏グランパス監督が明かす「組織づくり」の秘訣

組織を変えるには......。

組織を変えたい

「組織を変えてもらいたい」のか、それとも「組織を変えたい」なのか。

3年前、もし名古屋グランパスが前者でオファーを出したのなら風間八宏は監督を引き受けなかったに違いない。自分たちで変わるという意思表示が伝わったからこそ、指揮官は「新しいチャレンジ」として名古屋に向かったのだった。

グランパスはJ2降格に伴って選手、スタッフの人員を大幅に入れ替えた。J2で戦った2017年シーズンは3位で臨んだJ1昇格プレーオフに勝利し、2018年は連敗続きの苦境を乗り越えて残留争いを突破した。

種をまき、水をやった。

そして3年目の2019年シーズン、グランパスは好調だ。第8節まで終了して5勝1分2敗。首位のFC東京と勝ち点4差の3位。16得点はリーグトップで、6失点は3番目に少ない数字だ。

攻守のバランスが非常に良く、「得点は多くても、失点も多いんでしょ」という昨季までのイメージはもはやない。爆発力は維持しつつ、失点を減らしている。ちなみに昨季の59失点はリーグで最も多かった。

細かい要因はいくつもある。

ピッチに目を落とせば、個々に磨き上げてきた技術を、スピードに乗った形で発揮できている。判断のスピードも、プレーのスピードもある。そして「止める」「蹴る」「運ぶ」「(相手を)外す」を組織で90分間やり続けている。

失点が少ないのは、ボールを失ってもすぐに回収できる点にある。全体が非常にコンパクトでラインの設定も高い。相手にボールが渡れば、裏に出されないように狙いどころを定めて追い込む。

裏に出されてもオフサイドトラップに引っ掛ける。高い位置でのコンパクトを維持し、ボールを取り戻したら技術とスピードを使って相手ゴールに向かっていく。

効率が良いため、持続力もあるのだ。風間監督のもと、3年目にして新しいグランパススタイルが花開こうとしている。

これはクラブ全体が、自分たちで変わろうとしているからできること。そう受け止めていい。

すべての人が努力する

「みんなが楽しめるサッカー」を目標に掲げた風間監督は就任時にこう述べている。

「自分たちにしかできないサッカーで勝つ。そのためにはグランパスにかかわるすべての人が努力しなければいけません。その中心として選手と我々がしっかりとサッカーに取り組みたい」

「このクラブには地域を含め、いろんなものがまだ隠れていると思います。全員でしっかりと掘り起こして前へと進みたい」

変化していくためには「全員でしっかりと掘り起こす」。その象徴を、「自分たちにしかできないサッカー」とする。

これはクラブ全体の共通目標となった。

ホームスタジアムへの来場者を掘り起こした。

2018年シーズンのリーグ戦1試合平均の入場者数は2万4660人と過去最多を記録している。地域貢献やPR活動に力を入れ、SNSも積極的に活用した効果が表れたと言っていい。

一度スタジアムに足を運んでもらって、楽しめるサッカーがピッチに広がっていればリピーターになってくれる可能性がより高まる。今季も豊田スタジアムで開催された3月30日のコンサドーレ札幌戦で3万人超えを果たすなど、順調である。

ちなみに豊田スタジアム、パロマ瑞穂競技場ともピッチの刈高は短く統一されている。豊田のほうは日照の問題もあって、夜間に照明を当てるなど発育には労力を掛けなければならないという。

スピードと技術を出すサッカーを展開するなら、それに合うピッチに整備しなければならない。こういった細かいことまでクラブは徹底している。