安倍政権「大打撃の補選二連敗」で高まる消費増税中止の可能性

そしてやっぱり衆参同時選挙も…

安倍政権に大きな痛手と衝撃

先週の本コラムでは、4月21日投開票の大阪12区衆院補選が消費増税のカギを握っていることを書いた。結果は、維新の藤田文武氏が自民の北川晋平氏らを破った。同日に行われた沖縄3区衆院補選でも、自民党候補は敗れており、安倍政権にとって、間もなく行われる参院選を占う補選の敗北は、大きな痛手となった。

これまで、衆参補選では、2013年4月山口参院、2014年4月鹿児島2区衆院、2016年4月北海道5区衆院、2016年10月東京10区衆院、福岡6区衆院と安倍政権は5連勝であったが、ここにきて2連敗は手痛いだろう。沖縄3区はやむを得ないとしても、大阪12区は自民党に所属していた北川知克氏の死去に伴う弔い合戦だったにもかかわらず、負けてしまった。安倍総理が投票日前日に大阪に応援に入ったのに、巻き返せなかった。

これは、大阪ダブル選で勝利を収めた維新の勢いを差し引いても、やはり政権与党が消費増税を進めようとしていることが一つの敗因と考えざるを得ない。

 

大阪12区と沖縄3区の衆院補選で、自民党は1勝1敗と踏んでいたはずだ。それが2連敗となったので、今後は党内で「消費増税を容認していれば、参院選を戦えない」という空気が醸されるだろう。

実際、消費増税を牽制する観測気球も出ている。自民党の萩生田光一幹事長代行が、4月18日に公開されたインターネット番組「真相深入り!虎ノ門ニュース」のなかで、6月の日銀短観で示される景況感次第では、消費増税の延期もありうると発言した。

(ちなみにこの発言を報じる際、多くのメディアは「インターネット番組」というだけで、番組名を出さなかった。出したのは、主要紙では産経だけである。引用した番組の名前さえ書かないメディアは、本当に情けない。)

萩生田氏はもしも安倍政権が増税を先送りすると決断した場合、「国民に信を問うことになる」と発言した一方、衆参ダブルについては「日程的に難しい」としている。

番組を見ると、萩生田氏がジャーナリストの有本香氏の質問に答える形での発言だが、普段の砕けた感じで萩生田氏は対応し、ついつい言ってしまった、というような感じでもあった。番組の最後に、有本氏が「萩生田さんはお立場があるので何も言えていませんが」とコメントしていたのが印象的だ。

しかし、萩生田氏は発言する際に「個人的な発言」と断ってはいるものの、これは典型的な「観測気球」である。政治的な問題に対して、世論がどんな反応を示すか、どう考えているかを探るために、政治家がセンシティブな話題を突然放って、その反応をみるというものだ。並の政治家が言ってもニュース価値はないが、安倍総理の側近とされている萩生田氏が言ったので、各メディアが取り上げた。

筆者は、間もなく10連休が始まり、その間は政治的空白が生まれるので、10連休の直前ぐらいに誰かが消費増税の観測気球をぶち上げるだろうと思っていた。10連休中は大きな政治的話題があまりないから、紙面に載る記事が少なくなる。その合間を縫うように、観測気球を上げ、メディアと世間がどんな反応を示すかを見るには最高のタイミングだからだ。予想よりちょっと早かったが、萩生田氏の発言が、その観測気球だったのだろう。

一方、増税をなんとしてでも進めたい財務省も、10連休を前に独自に消費増税への布石を打っている。筆者が「これは財務省の布石だな」と感じたのは、4月15日に公表されたOECD(経済協力開発機構)の対日審査報告書である。同機構のグリア事務総長が日本で記者会見を行い、日本の財政健全化のためには、消費増税10%どころか、なんと26%までの引き上げが必要だと発言したものだ。

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