ソニーや富士フィルムが標的に!物言う株主は「親子上場」企業を狙う

過渡期にある日本特有の企業文化
小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

東証再編で親子上場解消も加速か?

2013年以降「アベノミクス」の一環として東証や金融庁が歩調を合わせて企業ガバナンスの強化措置を講じ、東証の新規上場ガイドブックも「ガバナンス上、特定の親会社等が大きな影響力を持つのは望ましいものではない」として、親子上場に釘を刺している。

そうした中で近年は親子上場が減少傾向にあったのだが、それに水を差したのが、今回のソフトバンクや2015年の日本郵政グループ3社の親子上場だった。

ソフトバンク孫正義氏 Photo by GettyImages

なぜソフトバンクの親子上場が認められたのかというと、その背景には証券取引所の資本獲得をめぐる国際競争が考えられる。それは、特に規模が大きくて上場後も盛んな株式の取引が見込める企業を、規制のゆるい海外の証券取引所に取られてしまうという危惧だ。ソフトバンクGの孫正義会長はロンドンに上場するというカードをうまくチラつかせたのではないだろうか。

 

しかし今後の方向性としては、ガバナンス強化の中で親子上場は引き続き減少傾向を辿るものと思われる。特に注目されるのは政府の親子上場についての新しい指針作りだ。3月に閣僚や財界関係者からなる「未来投資会議」が開かれ、今後企業の親子上場についての新しい指針を取りまとめて、夏の「アベノミクス」成長戦略に盛り込むことを決めた。

更にもっとインパクトが強そうなのが、東京証券取引所の再編案だ。東証の有識者懇談会が3月に発表した改革案には、東証を現在の4市場から3市場に再編することとあわせ、東証一部上場資格を厳格化することが盛り込まれている。センシティブな内容なので表現は極力薄めているが、基準に合わない企業の一部上場からの降格、排除を示唆する内容となっている。

企業のESG(環境、社会、ガバナンス)が一段と注目される今日の株式市場では、東証一部に残る条件として、親子上場も含めた総合的なガバナンスが一つの鍵となることは間違いないだろう。東証一部に残れなければ、一部上場企業で構成されるインデックス銘柄からも外れてしまい、資金調達に大きな差が出る。これは企業にとっては一大事だ。

今後、ガバナンスをキーワードに親子上場解消や企業再編が加速する可能性も出てきた。