「小池都知事にダマされた…」築地への回帰を信じた業者たちの落胆

築地跡地の会議は「蚊帳の外」
川本 大吾 プロフィール

2つの市場はあり得ない

2019年。築地再開発が「国際会議場の整備」などに力点が置かれ、都として卸売市場の整備はしないという方針が決まったことについて、豊洲で営業する多くの仲卸が「われわれがまた働ける市場が築地にできるわけないことは分かっていた」と言う。

「卸がいて仲卸がいて、買出人などが来る卸売市場が、そうあちこちに移動できるはずはない」と市場関係者。

移転賛成派だった仲卸の中には「(2年前の)あの時、築地を守って市場を造るようなことを言わなかったら、豊洲への移転は簡単ではなかった。だからあの時、小池知事が築地にまた市場を造るようなことを言ったのは、嘘も方便だったんじゃないか」といった寛容な見方もある。 

豊洲仲卸団体の幹部によれば、築地再開発について話し合う会議には「都に参加を申し入れたが認められず、会議の内容について数回説明を受けただけ。市場機能に関する中身はほとんどなく、国際会議場の整備など最終的な方針が決まるまで、都から仲卸側の意見を聞かれることもなかった」という。

築地解体作業が進む築地市場跡地(筆者提供)

築地の跡地利用は方針が決定したが、具体化はこれから。2020年東京五輪・パラリンピック以降、段階的に整備される。

小池知事は築地跡地を「食文化も含めて地域のポテンシャルを生かした開発にしていく」として、築地に市場機能を持たせた食のテーマパーク構想を盛り込んだ基本方針(17年6月20日)を変えたわけではないとの姿勢を貫いている。

豊洲開場から半年を過ぎ、築地とは違った閉鎖型の市場で、関係業者は夏場の取引へ向け、衛生・温度管理の徹底化を武器に活気ある取引を描いている。

かつての土壌汚染に伴う風評は払拭されたようだが、関係業者の市場開設者である都に対する不信感は、いまだにぬぐえていないのではないか。