「小池都知事にダマされた…」築地への回帰を信じた業者たちの落胆

築地跡地の会議は「蚊帳の外」
川本 大吾 プロフィール

2017年春、移転が延期された築地市場では、重苦しい雰囲気で初ガツオなど旬の魚をはじめとした取引が行われていた。見通しがないまま、豊洲の土壌汚染問題が次から次へと噴出。「もう豊洲へは行けないだろう」と、マイナスイメージが刷り込まれた豊洲の風評を懸念する仲卸が多く、移転問題は暗礁に乗り上げていた。

移転が延期され見通しが立たない状況下で仲卸だけでなく、卸業者も気が気ではなかった。

築地に7社ある水産卸会社は、豊洲へ莫大な資金を投じて大型冷凍庫を建設し、各地から集荷する水産物がスムーズに仲卸やスーパーなどへ出荷できるよう、さまざまな準備を進めていたのだ。

移転が延期されていた期間、関連設備の維持費もばかにならなくなっていたという。

 

行き詰まっていた豊洲への移転

80年を超えて営業を続けていた築地市場の施設は老朽化が進み、誰が見ても先が長くない状態だった。

築地で施設を建て替える「現在地再整備」か、あるいは別の場所に移転して新市場を建設するか──。

こういった議論は、長年にわたって繰り返されてきたが、築地市場の敷地使用率は90%を大きく上回って空きスペースがないため、工事中に業者が一時的に場所を移して仮営業できるようなところはほとんどなかった。

従って、段階的に施設を建て替えるローリング工事に耐えられないことも分かっていた。

築地2018年10月の築地市場。「現在地再整備」が難しいことは分かっていた Photo by Getty Images

そのため、総額6000憶円もの事業費を投じて建設された豊洲市場。築地から移転し、再出発するしかない状況で最大のネックとなったのが、生鮮食品を扱う市場として致命的な安全性を疑わせる土壌汚染問題だった。

「移転は無理」とあきらめムード

小池知事に移転の延期を決めさせたのは、豊洲の安全性に対する不安。

予感が的中したように、2017年に入ると、豊洲の地下水調査で環境基準の79倍、100倍といったベンゼンや他の有害物質が検出されたことが分かった。

当初の予定通りに16年11月に豊洲が開場していたら、どれほどの混乱があっただろうかと思わせる調査結果だったが、同時に「移転が延期でなく、中止になるのでは」といった憶測も出はじめた。