2018年10月、「日本の台所」として知られた東京・築地市場(中央区)が閉場し、江東区に豊洲新市場が誕生。
もめにもめた土壌汚染問題や、それに伴う都の幹部への批判もどこへやら。まずまずのスタートを切り、今や一般客からも人気のスポットとなっている。
ただその一方で、小池百合子知事が2年前に掲げた築地跡地の市場機能を有した「食のテーマパーク」構想が一変。移転反対派の「築地への復帰」の道が絶たれてしまった。
「小池知事にだまされた」という仲卸がいる半面、「築地に再び卸売市場ができるわけないことは分かっていた」(豊洲仲卸)と見る向きも少なくない。

築地に卸売市場は造らない
都は2019年3月下旬、築地跡地の再開発方針を決定した。その中身は、食分化など魅力的な資源を有する築地のポテンシャルを生かしつつ、新たな東京ブランドの創造を将来像に掲げ、国際会議場・展示場(МICE)を中核施設として整備していくことを柱としている。
解体工事が進む築地市場跡地について方針では「2020年東京五輪・パラリンピック後の東京をけん引する先進性と国際性を持たせ、築地が育んできた活気とにぎわいに鑑み、食文化の拠点として新たなにぎわい・集客を創出する」としている。
同時に、豊洲市場は中央卸売市場として継続的に運営していくことを明確にした上で「都として築地に卸売市場を整備することはない」と明記した。

信じた仲卸はガッカリ、小池知事に「だまされた」
国際会議場の整備を中心とした築地再開発方針が発表され、築地から豊洲へ移転した仲卸で築地女将さん会の山口タイ会長は落胆と同時に怒りの表情でこう話した。
「(2017年夏の)都議選前、小池知事は一時的に豊洲へ移るかもしれないが、築地市場に戻してあげるというようなことを言っていたが、この2年間ですっかり変わり果て、発言と行動が食い違っている。私たちは小池知事にだまされたと思っています」
この2年間でいったい何が変わったのか──。