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微熱、むくみ…すぐ死に結びつくかもしれない変調に気をつけろ!

ちょっとしたことで命にかかわる

外からではわからないが、人間は年齢を重ねるにつれて、確実に体内も同時に衰えていく。すべての臓器には正常に働く「寿命」が存在する。それを超えると日常のちょっとした異変も命取りとなる。

ゲップで大腸がんを発見

最近、オナラがよく出る。においもかなり強い。それはもしかしたら大腸がんの始まりかもしれない。大腸がんの兆候といえば、血便が有名だが、肛門の近くに腫瘍ができると、便の通過を妨げるため、ガスが溜まりやすくなりオナラが増える。

腸内環境の専門家で理化学研究所・特別招聘研究員の辨野義己氏が語る。

「腸内環境が悪くなると臭いオナラが出やすくなります。そのオナラは『腐敗型』と呼ばれ、消化吸収されなかった未消化物を利用して、腸内細菌が有害物質に変化させているのです。いわゆる悪玉菌が多い状態で『腸が疲労している』サインと言えます。

疲労した腸は働きが悪くなり、オナラの回数増加だけでなく、便秘や下痢の原因にもなります」

特に高齢者の場合、腸内環境の乱れは、免疫力の低下につながり、病気のリスクを上昇させる。

だが、オナラが出ているうちはまだいい。本当に怖いのは、オナラが出なくなったときだ。

石黒大樹さん(65歳・仮名)は、自身の体験をこう振り返る。

「2~3日前からオナラが出なくなったんです。そのときは特に気に留めていなかったのですが、左の下腹がとても痛むようになった。食あたりかと思っていたのですが、だんだんお腹が膨らんできて、吐き気も感じました。

心配した家族に連れられて、市民病院を受診したところ、大腸がんが見つかったのです」

総合診療医で多摩ファミリークリニック院長の大橋博樹氏が語る。

「大腸がんが進行すると腸に隙間がなくなるので、便はもちろん、オナラも出なくなります。その代わりにゲップが出るようになります。ひどくなると、食べた物を吐き出す人もいます。

さらに、少しご飯を食べただけでもお腹が一杯になる『腹部膨満感』が強くなります。これは腸が詰まり空気の流れが妨げられるから。結果、お腹が常に張ったような状態になります。

高齢でゲップの回数が増えたという人で、検査してみると大腸がんが見つかることは意外とあります」

たとえ大腸がんでなかったとしても、オナラが出ないのを放置していて腸閉塞(イレウス)を起こし、救急病院に運ばれる高齢者は決して珍しくない。

イレウスになれば、血液が腸に十分送られないため、腸が壊死して穴があき、敗血症(細菌感染)や多臓器不全になることもある。たかがオナラや便秘と軽く考えて見逃すと、命を落とすこともあるのだ。

 

もちろん、若いころなら、少しくらい体に変調があっても、放っておけばすぐに治っただろう。しかし、歳を取るとだれでも内臓は衰えるもの。

多くの医師たちが「内臓には時間がある」と言うように、それぞれの内臓ごとに、正常に働く「寿命」が決められている。その寿命を超えた瞬間、その臓器の機能は一気に低下していく。

そのため、高齢になると少しの変調でも、放置しておくと、それは即、命にかかわる。

だが、反対にさまざまな変調から考えられる病気を知っておけば、寿命を延ばすこともできる。

ゲップが続くと大腸がんだけでなく、食道がんの可能性も高くなる。ゲップや胸やけは胃酸が逆流している証で、こういった症状が何度も続くと逆流性食道炎という病名がつく。

胃酸により食道の粘膜が荒れると「バレット食道」という状態になり、食道がんのリスクが上昇する。食道がんの原因は主にタバコとアルコールだが、近年、欧米では逆流性食道炎を原因とした食道がんが全体の半数を占め、大きな問題になっている。

他にも、食べ物の味が変わった、熱いものや酸っぱいものを飲むとのどが染みるなどの変調があると食道がんが進行している可能性がある。

さらに食道がんを患っている人の3割は、のどのがんを併発している。声がかすれ始めたら、咽頭がん、喉頭がんの疑いが持たれる。

中でも咽頭の上部にできる「上咽頭がん」は、聴覚神経を圧迫することがあり、耳鳴り難聴が同時に発生することもある。