「IQが高い人たち」が生きづらさを感じた瞬間…本人らが明かした

「人と話が合わなくて…」
週刊現代 プロフィール

周りに合わせるのが苦痛

「高いIQを誇りに思っていた時期もありましたが、社会に出てからはそういった一面を出さないようにしています」

こう自身を振り返るのは、都内に住む行政書士の岩上義信さん(54歳)。彼もまた、天才と呼ばれてきた男だ。

学生時代、数学と物理は勉強をしなくても常にテストで満点をマークし、趣味で始めたギターも最初からすぐ弾けるようになったという。さらに、メンサの会員だというのだから太田くんとは共通点が多い。

家庭の都合で大学へ進学できなかった岩上さんは、高校を卒業してからガソリンスタンドや警備会社など職を転々とする。しかし、いたるところで学歴の壁を感じ、行政書士の資格を獲得した。

 

「税理士事務所で10年働いていたあとに独立しました。一人のほうが気楽だったんです。

昔から、人が何を考えているか先読みしてしまう癖があるのですが、自分の思考よりずいぶんゆっくりのペースで周りの人が会話することがストレスとなり、職場でたびたび衝突していました。それが原因で、妻とも離婚しています」(岩上さん)

いまは、独身生活を楽しんでいるというが、やはり気楽に人付きあいができるのは、メンサの会員のような高いIQの持ち主が多いそうだ。

精神科医の和田秀樹氏は、社会に馴染めない天才たちの人生についてこう語る。

「たとえばサッカーで、小学生なのに高校生のようなプレーができたら、もてはやされますよね。しかも、そういう子はプロの育成チームのような受け入れ場所があります。

でも、IQが高すぎる天才だと、変人扱いされますし、コミュニティに馴染めません。しかも、日本ではその才能を伸ばしてくれる場所もない。高いIQを持つ人を教育するシステムが機能していないことは、不幸なことです」

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たしかに太田くんも小さいときは、周りの子どもと上手に接することができず、浮いた存在だったと振り返っている。

「そもそも、天才がまわりに合わせる必要があるのか。無理に協調させることは、彼らにとっても大きなストレスですよ。大人になってからも、幼稚園児とずっと話し続けろと言われているようなものです」(和田氏)

「性能」が高すぎる悲劇

東大工学部を卒業後、東大大学院を経て、現在は大手IT企業に勤務している布村壮太さん(33歳)は、まわりに合わせることをやめた天才だ。

「私は、話の矛盾点にすぐに気づいてしまうのですが、良かれと思ってそれを指摘したことで相手を追い詰めてしまうことがあります。

後輩の非効率なスケジュール管理を淡々と指摘していたら、今にも泣きだしそうな顔をされたこともあります。その後に上司から注意されることも多い。本当に良かれと思ってやったんですけどね。

でも、基本的には人の話には興味が持てないですし、人からの評価も気にしません。合わせるほうが苦痛ですからね」

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彼もメンサの一員。天才には、天才ゆえの苦悩があるのだ。彼らの歩んだ道のりを見ていると、「バカだな」と笑い合っていられる凡人の人生が幸せなのかもしれないと思えてくる。

「週刊現代」2019年4月13日号より

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