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被害者続出…あまりに巧妙「オレオレ詐欺」はここまで進化した

他人事だと油断してはいけない

「騙される人にはなにか落ち度がある」、そう思ってはいないだろうか。しかし、犯罪集団が使う手法は日々、進化している。「俺は絶対騙されない」と思っている人が騙される、最新手口を紹介する。

綿密な台本がある

「もしもし、A地域支援センターのヤマグチと申しますが、高橋洋男(仮名)さまのお宅でよろしいでしょうか」

「はい、そうですが」

「いまお電話口でお話しいただいているのは、高橋洋男さまご本人でしょうか。お名前の漢字が『梯子高』の『高橋』に、太平洋の『洋』、男女の『男』で『高橋洋男』さま」

「そうです。私です」

「高橋さまは今年65歳になられたと思うのですが、特別養護老人ホーム『B会』。こちら、ご自宅の葛飾区亀有からは車で20分ほどですよね。この施設の入居権者に高橋さまが該当されていらっしゃいます」

ある日、突然、あなたの自宅にこんな電話がかかってくる。

「オレオレ詐欺」の被害が止まらない。警察庁によると、'18年度の振り込め詐欺などの特殊詐欺の認知件数(捜査機関が犯罪の発生を確認した件数)は全国で約1万6500件、被害総額は実に約357億円に上る。

しかし、あなたはこう思ってはいないだろうか。いざ電話がかかってきても自分は冷静に対応できるはずだ。騙されるのは、警戒心が薄い人や認知症の症状が進んでいる人だろう。だから、自分は大丈夫――。

そう思っていると、落とし穴に落ちる。犯罪組織の中には、普通の大学生や、場合によっては高校生、中学生まで加わっているケースもある。「詐欺の子」たちによる、騙しの最新手口を紹介する。

 

冒頭のケースは老人ホーム入居権詐欺と呼ばれるものだ。このような電話がかかってくると、大半の人は「心当たりがない」「まだ老人ホームに入るつもりはないので結構です」と断る。

すると、A地域支援センターを名乗る人間は「昨年9月の北海道の地震で家が半壊し、住む場所を失った高齢者の方たちがいる。その人に入居権を譲ってはどうか」と話す。

承諾すると、30分~1時間後に再び電話が鳴る。「C会」という被災者支援団体を名乗る人間だ。

彼は礼を述べ、「名義は高橋さんのままで、被災者の方に入居してもらう。入居の手続きはすべて当会が行います」という。数時間後、再びC会から入電がある。

これらの電話をかけるタイミング、内容などは、犯罪集団が使用している「台本」に沿ってすべて行われている。台本には「ここでパソコンのキーボードを叩く(相手に聞こえるように)」などと事細かに指示が記されている。C会の人間は電話でこう話す。

「この度は本当にありがとうございます。被災者の方はさっそく明後日から入居されることになりました。

初期費用が1000万円ほどかかるのですが、こちらは当会が一度立て替え、後ですべて国から補助金が支払われます。もちろん、これは高橋さまにご迷惑がかかることは一切ありません」

ところが、翌日、一番最初に電話をしてきたA地域支援センターから、電話がかかってくる。

「昨日の件、どうなさいましたか? え? 名義を貸してしまったんですか? 名義貸しは違法になってしまうんですよ。ちょっと待ってください。確認して折り返しお電話します」

繰り返すが、これらはすべて台本を読みながら喋っている。入居権詐欺の肝はこの場面でどれだけターゲットを焦らせることができるかなので、彼らの台本のこの部分には「ここで大げさに驚く!」と書いてある。