「同時崩壊」もありえぬ事ではない韓国・北朝鮮の苦しい現状

外交挫折、経済下降に不気味な自由朝鮮
大原 浩 プロフィール

自由朝鮮はFBIの傀儡なのか?

そこで気になるのが、反体制臨時政府とされる「自由朝鮮」の動きである。もちろん、金政権に対する圧力として都合が良い部分もあるのだが、これまでの情報を分析する限り、トランプ政権やCIAの関与は無いようにも思える。

もちろん、国際諜報戦争で「私がやりました」などということはまず無いのだが、それを考慮しても、CIAの関与は考えにくい。

特に、スペインの北朝鮮大使館襲撃事件などの手口はCIAらしくない。CIAはこの他にも無数の国際的諜報活動を行っており、スペイン政府をかんかんに怒らせ、国際的非難を浴びる強盗のような手口は避けるはずだ。このような行為は、むしろ北朝鮮側に対する同情さえ呼び起こすものだ。

しかも、実行犯の身元があっという間に特定(あくまでもスペイン側の見解だが)されたのも不可解だ。スペイン警察もそれなりの調査能力を持っているだろうが、覆面強盗なのに大使館のすぐそばの道路の監視カメラで身元が特定されたというのは、「わざと身元が分かるようにした」とさえ思える。

さらに、「自由朝鮮」は奪った情報を「FBI」に渡したと述べている。また、暗殺された金正男氏の長男を米国で匿っているのもFBIであると伝えられている。

FBIもCIAも同じ米国の政府機関だが、伝統的に仲が悪い。9・11テロの時、実行犯に関する情報を入手していたのに、両者の情報共有がうまくいっておらず、犯行を阻止できなかったことが批判を浴びたが、その後もなかなか関係が改善されないのは日本の「警察庁と警視庁」や「各省庁の縄張り」と同じである。

しかも、FBIは米国版モリカケ騒動であるロシア疑惑追及の急先鋒である。もし、自由朝鮮にFBIが関与しているとすれば、それは米朝の交渉を助けるためでは無く、逆に邪魔をしてトランプ政権に痛手を与えるためかもしれない。

 

まさか! と思う読者も多いかもしれないが、例えばジョン・エドガー・フーヴァーは1935年から1972年まで40年近くもの間、FBI長官を務めた。そのようなことができたのはFBIで収集した情報で歴代大統領を脅していたからだといわれてる。

現在でも、FBIが大統領を含めた政治家の秘密情報によって国政を支配している可能性はかなりあるのだが、トランプ氏のように4回も倒産を経験した人物は、もともとスキャンダルまみれだから、秘密情報でもなかなか傷がつかない。

新たな打倒トランプ政策として、「自由朝鮮」を支援しているのかもしれないが、少なくとも現在のところは、トランプ氏がその思惑をうまく逆手に取っているような気がする。