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私の親友が外国人上司に激怒して転職を決意するまで

突然の解雇通告、不当な人事評価……
佐藤 優 プロフィール

人事評価というのは会社の命である。公正で公平な人事評価が行われない会社はけっして繁栄することがない。こんな杜撰な評価をされるような会社でいくら頑張ったところで、悲しい気持ちになるだけだと思った。

しかも人事評価を行う際には、期初に作成した「人事評価シート」を使い、期初に立てた目標に対して期末時点での達成度がどうであったかを1項目1項目評価して、その総合評価が最終評価となる仕組みになっている。

 

ところが、ノーマンはそういうルールに則った人事評価を行わず、単なる印象だけで人事評価を行っていたことになる。
これが豊島君の気持ちがあおぞら銀行から離れた決定的な理由だった。

取るべきリスクをとった

もう少し我慢して待てば、この外国人たちも以前のビル・シュートCTOのときと同じようにやがてあおぞら銀行を去っていくだろうとは思っていた。一方で豊島君もすでに52歳となり、55歳の定年まであと3年を残すのみだった。

定年まできっちりと勤め上げてから次の職場に移る──それが自分の人生設計として理想的な展開だと豊島君は思っていた。もっとも、定年退職後に再就職先を探しても今の労働市場ではなかなか売り手の思うようにはならない。

売れるチャンスがあるのなら早く売っておかないと、後からでは売れ残ってしまうリスクが非常に高かった。だから、解雇されたみんなにゆうちょ銀行への就職の道を示した同じタイミングで、豊島君自身も一緒に転職する道を選んだ。

みんなと同じように面接を受け、数日後に内定の連絡をもらった。年収ベースで300万円下がる条件を提示されたが、その金額で応諾した。金の問題ではないと思ったからだ。結果から見ると、豊島君は部下を引き連れて、あおぞら銀行からゆうちょ銀行に移動するという、大反乱を起こしたのだった。

結果的に、部下を引き連れた大反乱となった(photo by iStock)

豊島君は、秘書を通じてノーマンCTOに相談の申し入れを行い、退職したい旨を伝えた。さすがにそのときばかりは「前もってメールで相談しろ」とは言われずに、速やかに面会が成立した。CTOは非常に驚いて、しばらく考え込んだ。

「この会社を辞めるのは豊島さんにとっていいことではない。考え直せないのか」とノーマンは言った。豊島君が辞める決意をした原因を作ったのは、今、目の前にいるノーマンその人なのに、本人はそのことにまったく気付いていない。

豊島君の決意が固いことを知ったノーマンは、人事部長に相談するようにと言った。人事部の山形昌樹部長に相談すると、彼は豊島君の退職申し出に対しては判断せず、馬場信輔副社長に相談するようにと言った。仕方がないので豊島君は、日本人経営トップの馬場副社長のところに行き、あおぞら銀行を退職したい旨を伝えた。