photo by iStock
# 経済・ビジネス

私の親友が外国人上司に激怒して転職を決意するまで

突然の解雇通告、不当な人事評価……
ある日突然、あなたの企業が外資に買収され、外国人の上司が乗り込んできたら、いったい何が起こるだろうか。
今から20年近く前、日本を代表するエリート銀行の1つだった日本債券信用銀行(日債銀)が突如経営破綻、「あおぞら銀行」として再スタートし、その後、外資系ファンドの支配下に入った。その結果、大量の外国人が幹部としてやってきて、日本人行員たちは彼らの流儀に振り回されることになった。
当時、同行の管理職を務めていた豊島昭彦氏もその混乱に巻き込まれた一人である。その豊島氏が、高校時代の親友である作家の佐藤優氏と、とある事情から共同作業で出版した書籍『友情について』から一部を抜粋する。
同僚たちの突然の解雇通告や不当な人事評価に対して、豊島氏はどう闘ったのか。会社で働く「ほんとうの価値」とは何か。

突然の解雇、しかも口止めまで…

奇妙なことが起きた。豊島君の部下が数人、個別にCTO副担当の部屋に呼ばれ、部屋から出てきた後、そのままどこかへ消えてしまった。いったい何が起こったのか、当初、豊島君はまったくわからなかった。

 

後で本人たちから聞いた話を総合すると、CTO副担当に呼ばれて部屋に入ると、「君はもう今日から会社に出て来なくていい。これからすぐに家に帰りなさい」と言われ、その場で行内ネットワークシステムに入るためのIDカードを取り上げられ強制的に自宅に帰らされたということだった。

しかも、「このことは誰にも話してはいけない」と口止めもされた。だから、豊島君に対して何も言わずに帰宅するしかなかったわけだ。

会社都合による一方的な解雇であるから、退職金の割り増しや就職斡旋会社の無料サポートサービスは受けられることになっている。だからといって、突然こんなことをされたら、たとえ今回の対象にならなかった人でも、次にいつ自分が同じような対象にならないとも限らず、腰を落ち着けて仕事ができる環境でなくなってしまう。

今回解雇対象となった人を見てみると、将来あおぞら銀行の勘定系システムを担っていくべき優秀なメンバーが多数含まれている。この先、あおぞら銀行の勘定系システムの維持管理に支障を来す可能性がある、リスクの高い人選だった。

解雇された社員に口止めまでさせていた(photo by iStock)

この人員整理は、CTOとその側近たちだけで決めたことだ。あの人たちは外から来て、あおぞら銀行内部の事情を正確に把握できていないために、的外れな人選になってしまったのだ。

コスト削減を声高に宣言しているプリンス社長に対して、ノーマンCTOはシステム部門の人員削減を率先して実践して見せて、社長の歓心を買おうとしたのではないかと豊島君は思った。そんな不純な目的のために、何の理由もなく突然解雇されるのではたまったものではない。

豊島君は、ノーマンのやり方に心から腹が立った。豊島君直属の部下も解雇の対象になっていた。そのことについて豊島君は、事前にのみならず事後にも何の説明も受けていない。一般論としても、組織の秩序維持ができなくなる極めて異常な事態だった。

静かな反乱、上司としての正義

豊島君は、ノーマンCTOの行った仕打ちに対して怒り心頭に発した。そして、突然解雇となった人たちを救うために全力を尽くすことに決めた。

豊島君は、高校時代から口数があまり多くなく、他人と対立することは避ける傾向があった。ただし、自分で「こうだ」と決めると、梃子でも動かないようなところがある。ノーマンの行為は豊島君の逆鱗に触れた。豊島君は、静かに反撃の準備を始めた。