村上春樹×蜷川幸雄――。舞台『海辺のカフカ』は、村上春樹さんの傑作長編小説を、“世界のニナガワ”が演出。2012年の初演の際は、柳楽優弥さんが田村カフカを演じ、透明なアクリルケースの中で物語が交錯していくという斬新な演出も含め、2012年の演劇界の話題をさらった。

2014年の再演の際は、カフカ役に当時新人だった古畑新之さんを抜擢。大幅に変更になったキャストとともに、2015年にはロンドンやニューヨークなど5都市をめぐる世界ツアー敢行した。そうして2019年。フランスからの熱烈なオファーを受け、日仏友好160年を記念し開催される日本文化の祭典「ジャポニスム2018」を締めくくる題材として、パリの国立コリーヌ劇場で上演された。5月からは、約5年ぶりとなる日本での凱旋公演がスタートする。

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“引きずる”というより、
“引きずろうとする”傾向が
以前はありました

――パリでの上演はいかがでしたか? 今回は、パリでの上演が先で、その後同じ座組みで日本で凱旋公演をするという珍しいパターンです。

木南:舞台そのものにあまり慣れていないので、何が珍しいのかわかっていないんですが(笑)、パリであろうが日本であろうが、俳優がやることは一緒なんです。ただ、最初から最後までピリッと張り詰めた緊張感の中でやれたことは新鮮でした。

――パリで、お客さんの反応はいかがでしたか?

木南:お客様は現地の方ばかりなんですが、リアクションが自由なことに、まず驚かされましたね。日本だと、自分一人しか笑っていなかったりすると、慌てて笑い声を引っ込めちゃったりするじゃないですか。でも、パリのお客様は、みなさんそれぞれの観点で楽しんで、臆さずリアクションをするんです。

日本では静かに淡々と過ぎて行くと思われるようなシーンでも、笑いが起こったり。私はまだ日本でお客様の前に立ったことがないので、実際に比較はできないんですが、とにかくその素直なリアクションが面白いなと思いました。

猫が登場するシーンとか、「わぁ、猫だ!」とか、すごく驚かれるんです(笑)。笑いが起こるシーンも多かったですが、私自身、「あれ? 日本で観たときは、みんなこんなに笑わなかったよなぁ」なんて思ったり。

――『海辺のカフカ』は、初演が2012年。2014年に再演され、カフカ役は当時新人だった古畑新之さんに変わり、他のキャストも大幅に変更になります。その座組みで、2015年にロンドンやニューヨークなど5都市をめぐる世界ツアーを行いました。今回は、再再演という形ですが、佐伯さん役、大島役、さくら役は毎回変わっています。今回、さくら役のオファーを受けた理由は?

木南:初演を観ていて、すごく好きな舞台だったので、お話があったときは、「やりたいやりたい!」って感じでした(笑)。ただ、出演者の中で、蜷川さんの演出を直接受けたことがないのは、私だけです。

もともと原作もすごく好きなんですが、さくらの役は、原作とはまたイメージが違う。最初は原作のイメージを大切にしていたのが、稽古が始まってからは、原作とは切り離して考えた方が楽になった感じです。

とにかく難しい役で、パリ公演中もずっと悩み続けました。多分東京公演中もずっと悩んで、作っていくんだろうなと思います。お話自体が素晴らしいと思うし、自分の出ていないシーンで、グッとくる部分がたくさんあって、蜷川さんの斬新な演出は、視覚的にもすごく美しい。

作品的には素晴らしいものだとお勧めできるんですが、自分のお芝居に関してはまだまだ改善できるんじゃないか、と。自分的には、いつまでも納得できなくて苦しくてしんどいんですが、いつか、納得できる日がくるのかなぁ。とにかく、やるしかないんですけどね。