役に染まる力。滲み出る個性。女優・木南晴夏はその両方を持ち合わせている人だ。

例えば2018年の前半は、帯ドラマ劇場『越路吹雪物語』で岩谷時子役を演じ、才能に溢れた昭和の女の雰囲気を存分に漂わせたかと思うと、『海月姫』では超絶冴えないオタク女を演じてみたり。

『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』で演じた、若い二人の恋を取り持つ先輩コンビニ店員役は、現代風のポップさと預言者のような洞察力を兼ね備え、観る側に「こんな先輩欲しい!」と思わせた。ファンタジックな設定にリアリティを与え、シリアスな場面には軽快さを、一見軽薄に見えるシーンにも一抹の真理を感じさせる稀有な存在だ。

今回、ゲスト声優に起用された映画『クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 失われたひろし』でも、映画のプロデューサーは、「木南さんに声優を務めていただくインディ・ジュンコは、お宝を狙うきりりとした一面と、天然でおとぼけな一面が見え隠れする魅力的なヒロイン。数々の映画やドラマでコメディエンヌっぷりを発揮し、濃いキャラクターにも埋もれず、キラリとした存在感を発揮する木南さんであれば、臆さず楽しんで演じてくださるのではないかと思いました」とコメントしている。

5年前の舞台では、
毎日のように打ちのめされて。
今も舞台には苦手意識があります

――今回は、トレジャーハンターのヒロイン役で、行動全てが裏目に出てしまうアンラッキーガールという設定が新鮮です。「クレしん」との思い出は?

木南:子供の頃からずっとファンで、漫画も一巻からずっと買っています。漫画の連載が始まったのが、私が5歳のときで、しんちゃんの年齢と重なるのも、何か縁を感じます(笑)。

――声優については? 今回はどんな点が面白かったですか?

木南:10代の頃、ゲームソフトのキャラクターの声を担当した時、ずいぶん壁にぶつかって。声優って難しいんだということを刷り込まれていました(苦笑)。長編映画の声を担当したのは初めてだったんですが、あまり経験がないことに関しては、どんどんやっていきたいと思う方なので。

今回はゲストといえど、出演シーンがすごく長いんです。物語の鍵となるヒロイン役ですが、しんのすけたちと、ずっと行動を共にする役なので、意外と出演シーンが多くて。試写を見てビックリしました。「わぁ、こんなに出てる!まだ出てる!」みたいな(笑)。

――お仕事を選ぶ時は、“新しいチャレンジができるもの”を優先されているのですか?

木南:私、今まで自分からお仕事を選んだことってないんです。お話いただけたものに全力で取り組んでいくようにしています。

――事務所のスタッフの方と、今後の方針について話されたりは?

木南:あまりしないです。マネージャーとなんとなく共有していることは、“何か一つ、面白さを感じられればいいよね”ということ。台本の面白さでもいいし、キャラクターが面白いのでもいいし、実際に“笑い”としての面白さがあるものでもいい。今のところ、“面白い”と思う感覚がマネージャーと一致しているのか、特にそこをすり合わせなくても、面白いお仕事に巡り合えているような気がします。ただ、折を見て、「こういう作品をもっとやっていきたいんですけど」というお願いはします。