宇宙の始まりを目指して「超新星」を追う

宇宙の始まりを観測と計算で導き出す
サイエンスリポート プロフィール

「時刻の異なる二つの画像の差から超新星を見つけるのですが、うまく差が取れなかったとか、全然違うもののほうがずっと多く見つかります。『これだ!』というIa型の候補は1%未満しか含まれません。

そうしたIa型の候補を選んで、別の望遠鏡で追観測します。追観測では時間をかけてスペクトルを観測し、位置、速度とあわせて星のプロフィールがほぼすべて明らかになります」

現在は高い精度で検出できており、一晩におよそ10〜20個程度が超新星と特定されているのだそうだ。

東京都立川市にある統計数理研究所・国立極地研究所共同棟

ところで、池田教授の専門分野は宇宙ではなく、統計である。

「何らかのノイズが含まれるような観測結果がある時に、その背後にある対象の本当の姿を推定する──。これが統計の仕事ですね。このうち特に対象が物理的な信号であるような場合を信号処理と呼びます。

計測機器の発達によって、これまでにないデータが得られるようになった現在、信号処理は広がりのある活発な学問になっているんです」

宇宙の「地図」を作る研究

一方、吉田教授は、研究のもう1つの大きな柱として、現在「重力レンズ」という現象にも注目している。

宇宙のあちらこちらに、歪んだ形の銀河があることが知られています。それらの銀河は実際に歪んだ形をしているのではなく、そのように“見える”だけなのです。実は、その見かけの歪み具合を逆算すると、銀河の周辺には見えないけれども何か大量の物質があるということが分かります」

この「見えない何か」こそ、ダークマターと呼ばれるものだ。宇宙の構成物は現在、4%が通常の元素、22%がダークマター、そして残りの74%がダークエネルギーだと考えられている。

「ダークマターの3次元的な分布を広範囲に調べて、いわば宇宙の地図を作っています」