Photo by Getty Images

宇宙の始まりを目指して「超新星」を追う

宇宙の始まりを観測と計算で導き出す
現代宇宙論では、現在、宇宙はその誕生から約138億年が経過したと考えられている。ビッグバンで始まった宇宙は超高温・高密度の状態で膨張を続けながら、どんどん冷却されていった。そして約38万年後に「宇宙の晴れ上がり」が起こって光が直進できるようになり、1億年後には重力によって集められたガス雲の中から最初の星が輝きはじめたという──。

そもそも天文学は「本当にただ無目的に星を観測して、宇宙の姿をジーッと見ていたら面白いものが見つかったという、むしろデータサイエンスに近いところから始まっている」と語るのは、東京大学・カブリ数物連携宇宙研究機構の吉田直紀教授。


「たとえば銀河系がどら焼き型だというのは、もう200年以上も前に発見されたのですが、なかなか頭で考えて出て来るような話でもない」

かつてない高解像度のデータが大量に得られるようになった21世紀現在、これらを駆使して、宇宙の始まりはどう解明されつつあるのだろうか?

(聞き手:池谷瑠絵 特記以外の写真:飯島雄二 「サイエンスリポート」より転載)

AIを使って、Ia型超新星を見つける

吉田直紀教授は、5年間にわたってすばる望遠鏡の新型カメラを使用して宇宙を観測し、得られた大量の画像を解析するプロジェクトに取り組んでいる。集める画像データは、およそ1ペタバイト(100万ギガバイト)にもなる。

1つの画像の中にだいたい数千個の銀河が写っています。もやっとした雲のように見えても、ズームインしていくと実は1個1個の星にまで分解できる高い解像度を持っています。かなり広い領域の宇宙で起こっているいろんな出来事をカメラに収めることができるんです。

解析によって特定されたIa型超新星。星の明るさやその変化とともにデータベースに収められている

宇宙は静的な、いつも変わらぬ姿をしていると思いがちですが、昨日撮った画像と今日撮った画像を比べると結構変化していて、すばる望遠鏡の観測データを解析すると、星が爆発したとわかる箇所が一晩にだいたい100個ぐらい見つかります。

1つ1つ拡大すれば人間の目でもわかるのですが、なにしろ膨大な数の天体が映っているので、コンピュータでそれらの画像の差分を検出し、宇宙の変化を捉えています」