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生存戦略、しましょうか。動けない植物たちは病原菌とこう戦う!

病原菌を撃退する「あの手」「この手」
人間が病気にかかるように、植物だって病気にかかります。時としてそれは生死にかかわる大問題になることも。当然、植物たちもあの手この手の「生存戦略」を立てて生き残っています。今回は、ブルーバックスの新刊『植物たちの戦争』(日本植物病理学会編著)に描かれた「生存戦略」を3つご紹介!

植物は、どうやって病原菌に勝つ?

この冬もインフルエンザが猛威を振るいましたが、ヒトが細菌やウイルスによる感染を受けた場合には、白血球や抗体などの体の免疫機構が私たちの体を守ってくれます。

白血球 illustration by gettyimages

風邪の時に黄色い鼻水や痰などが出るのは、無数の白血球たちが病原菌と戦った結果の亡骸ですし、予防接種は特定の病原体に対する抗体価を前もって上げておくためのものです。

抗体や白血球といったミクロの防衛隊は、血液やリンパ液の流れに乗って、私たちの体を巡回し、日々病原体の侵入を見張ってくれています。

さて、窓の外を眺めると街路樹の緑や庭の草花が目に入りますが、そんな植物たちは病気にならないのでしょうか? 実は植物にもインフルエンザのようにウイルスが原因だったり、はたまた、真菌や細菌が原因だったりする病気があります。

病気にかかったトマト Photo by iStock

そう聞くと多少生物に詳しい人なら、植物のことが心配になるでしょう。なぜなら、植物には血液もリンパ液もなく、当然、その中を流れる白血球も持っていないからです。抗体を作るという話も聞いたことがありません。病原菌に対して、まるで丸裸のように思えます。一体、どうやって病原体と戦っているのでしょうか?

このたびブルーバックスから発刊された『植物たちの戦争』(日本植物病理学会編著)は、そんな植物の病気、つまり植物と微生物との戦いにフォーカスを合わせた一冊です。

近年の分子生物学の発展により、植物の病気に関する知見は大いに深まっています。日の光を浴びてのんびりしているように見える植物ですが、病気に対する戦略は、そのイメージからは想像できないようなものでした。ここではその中から「戦争」に見立てて、「焦土作戦」、「兵糧攻め」、「囮作戦」という三つを取り上げ、簡単に紹介します。