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令和が始まり、はやぶさ、大震災、IS……新書で平成を考える

現代新書とたどる平成31年史(後編)
現代新書編集部 プロフィール

平成25年、日銀黒田総裁就任

少しご縁がありまして、僕のスマホフォルダには、黒田総裁との2ショットが保存されています。当時は大学2年生で、進路に少し迷っていて、「銀行員か弁護士かで迷っているのですが、どのような基準で選ぶべきでしょうか?」とお尋ねしました(答えは秘密ですが……)。

とても謙虚で穏やかですが、恐ろしいほどに頭の切れる方だなぁ、と浅学ながら感じました。

 

そんな黒田総裁が率いる日本銀行。本書『孤独な日銀』はその政策論ではなく、日銀とはどのような組織で、どのような人々が活躍しているのか、を明らかにしてくれます。

本書では、他の日銀本のように、日本経済の長期低迷と金融政策運営の関係を直接的に取り扱うことはしていません。本書の目的は、金融政策論やマクロ経済論を展開することではなく、日銀という組織を論じることにあるからです。組織としての日銀の描写によって、机上や紙上の金融政策論には現れてこない、実際の政策運営の躍動感を感じていただければと思います。

平成26年、IS国家樹立宣言

ISは僕にとっては衝撃でした。もしかしたら、新しい国家の誕生かもしれない。どんな国も、戦争で領土を奪い取ってスタートするのだから。しかも、もしかしたらISは国家というより、思想なのかもしれない。テロリズムという思想が世界中に撒き散らかされ、混沌の時代が始まるかもしれない。

そんなことを思っていましたが、今やISはほぼ壊滅し、想像していたようなテロに溢れた世界にはなっていません(先日のスリランカでの事件などはありますが、頻度でいえば、それほど多くはないと思います)。

僕が少し前に刊行された本を読む時に、気をつけるポイントがあります。その本に書かれている未来予測と、現在の社会が違っている時に、どこでその違いが生まれたのか、を探すことです。

『「イスラム国」と「恐怖の輸出」』は2015年刊行で、IS誕生前後の中東情勢や、テロへの対抗策について書かれています。そこに描かれている内容が、2019年現在の認識とどのような違いがあるのかも、新書を読む楽しみの1つだと思います。

IS「建国」1年。新たなテロ指令を発し、ますます不安定化する世界の現実を、インテリジェンス、危機管理のエキスパートが詳細に解き明かす!なぜISの勢いは衰えないのか?関係各国の思惑とは?アメリカの決定的失敗とは?これからのキーワードは「フランチャイズ化」と「1匹狼型テロ」「敵」となった日本と日本人の自衛策は?

平成27年、大阪都構想住民投票

叔父が住んでいるので、大阪によく行くのですが、飲み屋やタクシーなどで地元の方と話すと、「維新以降で大阪は変わった」とよく言われます。昔の大阪を知らないので、どう変わったのかはわからないのですが、地方政治の持つ力を強く感じます。

ずっと東京に住んでいるため、都政≒国政のような印象があり、地方政治というのが実感できませんが、『地方議員の逆襲』では、地方政治の意義、議員の仕事内容や待遇などについて詳しく解説があり、第7章で大阪都構想について説明がなされます。

先にも述べましたが、人口減少社会の中、地方の重要性は増していくように思えます。この一冊で、地方政治・地方議員について知ることができると思います。

舛添都知事のような公私混同首長がなぜ登場し、許されてきたのか? 地方議員における政務活動費はなぜチェックが甘いのか? 「号泣会見」議員のようなダメな地方議員が続出してしまうのか? 地方議員選挙はどう変えるべきか? 地方議会の土日、夜間開催で何が変わるか? 大阪都構想には、それでも未来がある。地方議員、地方議会、そして地方自治体を変えるラストチャンスが今。地方から日本の未来を変えるための教科書。

平成28年、ブレグジット

まさか、と思いました。僕が生まれた頃にはEUは存在し、記憶にある限りでは、拡大の一途をたどっていたEUから離脱者が生まれようとしているとは。しかも、それがイギリスであるとは。

『イギリス近代史講義』はそんな大英帝国がどうして生まれたのか、産業革命はなぜイギリスで起きたのかを経済活動の分析やシステム論で解説します。この本を僕が読んだのは高校生の時でしたが、非常に骨太で、読み終わった時に言いようのない達成感がありました。

歴史を知り、その国がどのような経緯で今に至るのか。それを知ることで、彼らの立場や思想が理解できるようになる気がします。

一国史観・進歩史観では世界史はわからない。都市と田舎の違いとは。近世イギリスはなぜ晩婚社会だったのか。昼寝より残業を選ぶ心性はいつ生まれたか。世界で最初の産業革命はなぜイギリスだったのか――。ヨーロッパ世界システム下、イギリスの民衆はどのような日常生活を送ったのか。イギリスの「繁栄」と「衰退」を捉え直し、日本の現在を考える。生活史、世界システム論を開拓してきた泰斗による近代史講義!