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令和が始まり、はやぶさ、大震災、IS……新書で平成を考える

現代新書とたどる平成31年史(後編)
現代新書編集部 プロフィール

平成21年、オバマ大統領誕生

中学時代に弁論大会があって、僕のクラスは「アメリカの黒人運動」というテーマで論じました。その際に、参考文献としたのがこの『キング牧師とマルコムX』です。しかも本書、僕が生まれた年に刊行されていて、なにか不思議な縁を感じます。

 

平和的なキング牧師と、暴力的なマルコムX。そういった二項対立で描かれがちな二人ですが、その背景には、それぞれの生い立ちが関わってきます。そして、女性観に関しては「大差ない」と喝破しているのも、本書の面白いところです。

まだ黒人大統領が誕生するとは予想だにしていなかった刊行当時(1994年)から、今のアメリカの黒人観はどれほど変わったのか、という観点からも面白い一冊だと思います。

対照的な二大カリスマを通して読む黒人社会。マルコムXブームの意味とは何か? 台頭するブラックナショナリズムとは? 一見相反する2人の代表的指導者の思想と足跡から「黒人運動とアメリカ」を問う。

平成22年、はやぶさ帰還

僕は、中学生時代は雑誌「Newton」を毎月読み、天文学者に憧れる宇宙少年でした。そんな中、このはやぶさプロジェクトの成功、帰還は強い感動を僕の中に残しています(他校で行われた川口教授の講演会にこっそり忍び込んだこともあるほどです)。

そんなはやぶさプロジェクト。現在は、はやぶさ2が頑張っています。2月には小惑星「りゅうぐう」への着陸に成功。今月5日には金属弾を発射し、人工クレーターの作成にも成功した模様です。

はやぶさへの愛が先走ってしまいましたが、『はやぶさ2の真実』では、はやぶさの技術的な側面はもちろん、失敗を恐れず挑戦し続けることの大切さ、予想外の出来事が起こったときの対処法など、ビジネスでも転用できる教訓がたくさんあります!

初代はやぶさは、数々の困難を乗りえて、無事地球に帰還し、多くの日本人の心を揺さぶった。国民の熱狂的な支持を受けて、後継プロジェクト「はやぶさ2」も順調に進むはずだったが、その歩みは難渋を重ね、なかなか必要な予算が付かず、2012年にはあわや計画中止になる局面もあった。はやぶさ2の冒険は、探査機を打ち上げる前から始まっていたのである。

平成23年、東日本大震災

震災発生時、僕は池袋で映画を見ていたのですが、真っ暗な中で永遠のように揺さぶられ続ける恐怖は、未だに忘れることができません。日本全体が異様な雰囲気に包まれ、日常が簡単になくなってしまうことを知りました。

ですが、あの空気感は、後から理解するのは難しいと思います。時間と共に、忘れてしまうものもあるでしょう。

そんな記憶の忘却に抗うため、ご紹介するのが『データを紡いで社会につなぐ』です。筆者はグーグルアースを用いた広島や東日本大震災のデジタルアーカイブを作成しています。

データをきちんと整理し、分析し、保存することによって、今後起こりうる災害での被害を小さくすることが可能です。それは、私たちがあの出来事を「忘れない」ということにもつながると思います。

これから私たちにできるのは、あの出来事をしっかりと後世に伝え、不幸をへらすこと。その方法の1つを提示してくれます。

こちらが、東日本大震災アーカイブです。

「ナガサキ・アーカイブ」「ヒロシマ・アーカイブ」「沖縄平和学習アーカイブ」「東日本大震災アーカイブ」等、グーグルアースに証言や写真、動画等を載せたデジタルアーカイブを地元の人々との協働により制作、注目されています。肩書は情報アーキテクト。データを見やすくデザイン、貴重な記録を時空を超えて伝え「記憶のコミュニティ」をつくる――そんな仕事を通して現代におけるデータのあり方を語ります。

平成24年、将棋界で画期的な出来事続々

藤井聡太七段の活躍で、盛り上がりを見せる将棋界。僕も、いわゆる観る将(将棋の試合を観戦することが好き)で、タイトル戦や注目棋戦などは、ニコニコ生放送やAbemaTVなどで観たりしています。

そんな将棋界ですが。平成24年は画期的な出来事が多い年でした。米長永世棋聖という将棋の第一人者がAIに敗れる。羽生現九段が大山康晴十五世名人の持つ通算タイトル保持数の記録を打ち破る。そして、里見香奈女流が史上最年少で女流四冠となる。

現在では、第2回叡王戦で佐藤天彦名人がAIに敗れたことで、棋士vsAIという図式には決着がついたかのように見えます。ですが本書『不屈の棋士』では、それ以上の、棋士としての本分や棋士の宿命などについて、とても深く取材されています。

勝負事に人生をかける人々の矜持や美学について、ぜひご一読ください。

羽生善治は将棋ソフトより強いのか。渡辺明はなぜ叡王戦に出ないのか。最強集団・将棋連盟を揺るがせた「衝撃」の出来事、電王戦でポナンザに屈した棋士の「告白」とは? 気鋭の観戦記者が、「将棋指し」11人にロングインタビューを敢行。プロとしての覚悟と意地、将来の不安と葛藤……。現状に強い危機感を抱き、未来を真剣に模索する棋士たちの「実像」に迫った。