固定電話が「巨大なリスク」になっていることに気づいていますか

いまやデメリットのほうが上回る
加谷 珪一 プロフィール

固定電話にはメリットもあるが…

一連の問題の背景には、日本社会が持つ特殊性が大きく関係している。そもそも諸外国では日本のような振り込め詐欺やオレオレ詐欺というものは存在しない。もちろん諸外国にも詐欺師は存在しているが、家族を装った電話の詐欺がここまで広範囲に、そして継続的に成立している国は日本だけである。

コミュニティ内には知っている人だけが存在し、コミュニティの外は「他人」として完全にシャットアウトするという、ムラ社会型の意識が強く残っており、家族(と思われる)からの連絡はどんな内容でも無条件に信じてしまうという心理的なメカニズムが作用していると考えられる。

 

こうしたムラ社会は変化に乏しいので、従来のやり方を踏襲することへのこだわりが強くなる。使い慣れたツールに固執し、新しいツールへの切り替えが進まないことと、振り込め詐欺などの諸問題は、実は水面下でつながっている話といってよい。

固定電話には、品質が高い、番号が地域ごとに管理されているといった、携帯電話にはない特長がある。本来であれば、利用者のニーズに合わせて使い分ければよい話であり、固定電話そのものが無意味というわけではない。

だが、日本の現状を考えた場合、高齢者の固定電話はもはやリスク要因でしかない。このままでは、事業目的以外の固定電話は廃れてしまうのではないだろうか。