2019.04.21

私大入試の難化の一因…?指定校推薦の「語られざる問題」

年々増えているようですが…
田中 圭太郎 プロフィール

後悔する学生も…?

指定校推薦の枠をフル活用して、進路指導をする高校も実際にある。3年生の人数の何倍にもなる推薦枠を冊子にして、その中から進学先を選ばせる指導をするという。1つの枠に希望者が複数いた場合は、成績などを基準に、進学する生徒を選ぶ。

しかし、そういう指導をしていると、一般入試を受ける生徒の士気も下がる。ほとんどの生徒が指定校推薦で進学すれば、一般入試で国立大学や私立の難関校の合格者を出せなくなり、いずれその高校の偏差値は下がっていく。先生も受験指導をしなくなるので、指導力もなくなる。その結果、気がつけばその高校に学生が集まらなくなってしまう、という悪循環に陥る危険性がある。

何よりも問題なのは、受験生自身が指定校推薦で進学する大学に納得しているのかどうかだ。安全志向や受験の手軽さで指定校推薦を選ぶあまり、生徒が本来持っている学力よりも、レベルの低い大学に進学しているケースもあるという。

これでは、大学入試から健全な競争を奪うだけでなく、希望していない大学や学部に進学するケースが増えて、受験生の進路が歪んでしまう可能性がある。反対に、自分の学力レベルよりもはるかに高い大学に入ってしまい、結果的に入学してから後悔する学生も少なくないようだ。

 

透明性を高めていくべきでは?

安田常務は「私大の難化は来年、再来年までは続くが、その後は沈静化の方向にいくのではないか」と話している。実際、今年は定員を超過して入学できる人数の割合が昨年と変わらなかったためか、早稲田、慶應、上智、MARCHのほとんどで、合格者が昨年並みか増える傾向にあった。難関大学は志願者も減っていて、数字の上では難化に歯止めがかかった形だ。

安田常務は、私立大学の難化は一時的なものといえるので、一般入試であっても推薦入試であっても、あくまで第1志望の大学を目指した方がいいとアドバイスする。

「推薦入試にはいい面もあります。指定校推薦やAO入試など、推薦で大学に入ることが一般的になって、推薦は卑怯だと言われなくなったことはよかったのではないでしょうか。成績がよくても入試本番には弱いと思われる受験生が、指定校推薦で第1志望の大学に進学するのは選択肢の一つだと思います。

ただ、入試が厳しいからといって一般入試を避け、ここなら指定校推薦で入れるからという理由で、もともと希望していない大学や学部に進学する場合は、少し変ですよね。将来にも関わってくることですから、受験生自身がよく考えて選択すべきだと思います」

メリット・デメリットそれぞれにあるため、指定校推薦そのものの良し悪しを論じるのは難しい。しかし、大学受験全体に大きな影響を与えるにもかかわらず、指定校推薦の実態はあまり明らかにはされていないのは事実だ。教育関係者の間で一般入試の難化が問題視されるなか、大学は各学部の「指定校推薦枠」の数や、「指定校推薦入学者」の割合を独自で明らかにするなど、透明性を高めていく必要があるのではないだろうか。

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