私大入試の難化の一因…?指定校推薦の「語られざる問題」

年々増えているようですが…

入試の難化と推薦増の関係

近年、安全志向から大学入試の指定校推薦枠を利用する学生が増加しており、一般入試による入学の門戸が狭くなっていると感じています。

指定校推薦の入試は、応募すれば不合格になることはほとんどありません。ほぼ100%の合格率は受験生にも、学生を確保したい大学にもメリットはあるでしょう。

しかし、大学が生徒の確保のために出し過ぎた指定校推薦の枠が、入試での競争を歪めている可能性があることには、問題意識をもっておくべきです」(大学入試に関する調査・研究などを行なっている「大学通信」の安田賢治常務)

私立大学の入試は2016年から始まった「入学定員管理の厳格化」などの影響で、特に文系学部で年々難化が進んでいる。大学が定員を大幅に超過して入学させた場合は「私立大学等経常費補助金」を交付しないとして、2018年まで段階的に超過率の基準を引き下げたため、毎年合格者が減少し、一般入試が難化したのだ。

 

筆者は<「A判定でも落ちる…」今年も私大入試の難化が止まらなかったワケ>という記事で、昨年と基準が同じだったにもかかわらず、今年も私立大学の入試が難化した可能性が高いことを示した。

安全志向が強まったことで、受験生が滑り止めで受ける大学が増えていることもその理由のひとつとしてあげられるが、前回の取材を進める中で、教育関係者から「指定校推薦枠」による入学者の増加が、大学入試の難化を招いている可能性について何度も耳にした。

冒頭の安田常務は、筆者の取材にこう続ける。

大学関係者に話を聞くと、例年以上に指定校推薦の応募がたくさんきたと話しています。これまでは大学から高校に指定校推薦の枠を出していても、進学校の場合は応募がないという状況が当たり前でした。それが、今年は応募してくる学校が増えたそうです。

中堅クラスの進学校では、特進クラスの生徒はほとんど一般入試で受験をします。しかし、今年は、指定校推薦やAO入試などを積極的に活用した一般クラスの方が、最終的に特進クラスの進学成績を上回る、というケースも出てきているようです」

また、ある高校の教諭も、筆者にこんなことを明かした。

「ある大学は例年合格している偏差値帯の生徒が受けても、今年はことごとく不合格になりました。その原因は、今年は定員の半分近くを指定校推薦で確保していたためではないか、と聞き、なるほどと思いました。多くの大学が推薦を増やす傾向にありますし、一般入試だけでの進路指導はこれから難しくなると感じています」

実際に指定校推薦枠の増加による「一般入試の難化」が起こっているのだろうか。

結論から言えば、そのことを明確に示すデータはない。しかし、教育関係者の声に耳を傾けると、指定校推薦の存在感は年々大きくなっていることは間違いないという。