”治らない薬”が一番いい!?医師が明かす製薬業界「不都合な真実」

ドキッとする話です
谷本 哲也 プロフィール

味気ないアドバイスだが…

医療においては、新薬が古くて安い薬よりも優れるとは限らない。しかし、同じ効果で安い薬よりも高い薬価の新薬を積極的に処方するように、医者に対して、あの手この手で製薬会社のマーケティングが繰り広げられる実態がある。世間ではあまり認知されていないそのオドロキの儲けの仕組みは、拙著に詳しく記した。

いずれにせよ、医薬品処方を決める医療現場においては、製薬会社の経済的合理性と医学的な妥当性は必ずしも一致しない場面がある。製薬会社の販売促進と患者にとっての良い医療とが、矛盾することもあるのだ。国民皆保険の存続が危ぶまれる中、この業界タブーに対してはもっと社会的な議論が盛り上がってもいいだろう。

 

さて、一般のビジネスパーソンは、「血圧やコレステロールが高い、痛風や糖尿病と診断された」というとき、一体どう対処すればいいだろう。病気になったから薬を飲む、という方法は、問題の単純な裏返しに過ぎない。たとえて言うなら、スポーツアスリートがトレーニングを軽視して、薬に頼って安易にドーピングに走るようなものだ。

味気ないアドバイスと思われるだろうが、安直に「生かさず殺さずの薬」に頼るだけでなく、生活習慣全般を見直すという地道な努力を、イチローのように長年にわたって傾け続けることが必要だ。

デスクワークや長時間の会議での座りっぱなしの生活を改め、極力階段を使うなど運動に取り組む、禁煙する、飲酒を避け、白米や砂糖などの炭水化物を減らす、新鮮な野菜や果物を摂る、肥満にならないよう体重を減らす。

今さら言うまでもない当たり前の養生訓だが、それができないビジネスパーソンがいかに多いことか。しかし、医療者側としても、収益にならない細かな生活指導を、なかなか理解してくれない患者に時間をかけて行うより、治らない薬を処方した方が早くて儲かるという現実もある。

現代社会の医者、患者、製薬会社の三つどもえの共犯関係は根深い。

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