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人手不足に悩む農業、頼れる助っ人は「一式600万円のロボット」!

スマート農業の躍進に迫る
農林水産省によれば、平成22年からの8年間で農業就業人口は約85万人減少した。わずか10年足らずでじつに3分の2に減ってしまったのだ。65歳以上が占める割合も平成30年には68%にまで上昇した。

人手不足や高齢化に苦しむ日本の農業について「残された時間は少ない」と端的に表現するのは、農業ロボットの開発に取り組む深尾隆則教授(立命館大学理工学部)。

「人手不足の進行は生産量の減少に直結します。10〜15年後には、農作物の市場価格が大幅に上がる可能性が高い。価格が安定して味もよい日本の野菜や果物は、10年後には気軽に買えなくなるかもしれません」(深尾教授)

農業の切迫状況を打開するべく、官民を挙げて急ピッチで技術開発が進められているのが農業ロボティクス、「スマート農業」の分野だ。

「自動」運転でキャベツを「自動」収穫!?

深尾教授は、農業の中でもとりわけ労働集約的な「収穫」と「運搬」にフォーカスし、農業ロボットの研究開発に取り組んでいる。

農研機構生研支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち人工知能未来農業創造プロジェクト)」に採択されている研究開発計画では代表を務め、キャベツの自動収穫や自動運搬の実現を目指す。

「技術を細かく説明するより、ロボットが実際に働く様子を見れば一目瞭然です。キャベツ自動収穫の様子をご覧ください」

見せていただいた動画は露地栽培のキャベツを自動収穫機で収穫している様子だ。ヤンマーとオサダ農機が開発したキャベツ収穫機を自動化すべく、オサダ農機と共同で開発したという。

「AIがキャベツを認識し進む経路を決定するので、運転手は不要です。収穫したキャベツをコンテナに自動で入れる機構も開発中です」

深尾教授いわく、このトラクターには(1)AIのディープラーニングによるキャベツ検出、(2)収穫のための経路生成・経路追従制御、(3)土壌面の検出、(4)収穫部の高さ制御、の4つの技術が実現されているという。

「自己位置の推定や環境認識には、GNSS(GPS)やカメラのほかに、光の反射を利用するリモートセンシング技術のLiDARが活用されています。

白菜やブロッコリーなど他の露地野菜でも、収穫部のアタッチメントを交換するだけで自動収穫できるようにするべく、研究が進んでいるところです。ほかの野菜収穫機の自動化も同様な原理で可能になります」

収穫後、農作物の入ったコンテナをトラックに積み込む工程も自動化の対象だという。

「キャベツで満杯のコンテナを、フォークリフトでトラクターから下ろしてトラックに載せる。この工程もオペレーターが必要ですし、高価な収穫機を本来の用途に使えないアイドルタイムです。

そこで進めているのは、コンテナをトラクターからトラックへと人の操作いらずで積み下ろしするフォークリフトの開発です」

「LiDARで環境認識や自己位置推定を行って畑や集荷場をシームレスに自動走行し、かつ人工知能でコンテナやトラックを認識する仕組みになっています。豊田自動織機や長田電機との共同開発です」

果物栽培にもロボットを!

農研機構に採択されたもう一つの研究計画でも、深尾教授はサブリーダーを務めている。研究テーマは果実生産のロボット化・自動化だ。ヤマハ発動機やオーレックと共同開発を行っている。

「カメラやLiDARで果樹園内の自己位置を推定し、決められた経路を自動走行する車両を開発しています。草刈機や薬剤散布機を牽引し、これらの作業を自動化することが目標です。

ディープラーニング技術でAIは木の幹を正確に認識し、幹の周りまでしっかり草刈りすることもできます」