NASAが提唱していた月周回軌道の有人拠点「ゲートウェイ」構想が正式にスタートし、国際宇宙探査活動が動きはじめました。
JAXAは今後どのような月探査を行い、どのような技術で月面での活動を実現しようとしているのか。JAXAが考えている月面へのシナリオを国際宇宙探査センターのセンター長、佐々木宏さんに聞きました!
JAXAは今後どのような月探査を行い、どのような技術で月面での活動を実現しようとしているのか。JAXAが考えている月面へのシナリオを国際宇宙探査センターのセンター長、佐々木宏さんに聞きました!
月を周回する有人拠点建設へ
──「はやぶさ2」が小惑星リュウグウへのタッチダウンに成功しました。JAXAはさまざまな探査活動を行っていますが、国際宇宙探査センターの役割とは何でしょうか。
佐々木 国際宇宙探査センターは2018年7月に発足しました。JAXAには有人宇宙技術部門の国際宇宙ステーション(ISS)での活動や、「はやぶさ2」のような宇宙科学研究所のミッション、宇宙探査イノベーションハブでの活動などがあり、さらに研究開発部門でもさまざまな研究を進めています。
国際探査センターはこれらの活動の整合を図り、月や火星を中心とした国際宇宙探査をオールJAXAで進めることを担う組織です。

──2018年3月に東京で開催された第2回国際宇宙探査フォーラム(ISEF2)で、国際宇宙探査を平和目的と人類への利益のために国際的な協力で行うことが確認されました。その後、どのような動きがありますか。
佐々木 NASAが提唱していた月周回軌道の有人拠点「ゲートウェイ(Gateway)」建設の予算が先日成立して、正式に米国ではGOがかかりました。第1回目のプログラム会合が、参加を計画しているJAXA、ESA、カナダ、ロシアも出席して開かれたところです。
ゲートウェイは月面有人探査の拠点となるほか、深宇宙環境を利用した科学の場となります。また、火星有人探査のための技術実証の場にもなります。

──ISS計画のパートナーが集まった形ですね。
佐々木 そうですね。ゲートウェイはいろいろな国が利用することになりますが、コアとなるモジュールを作るのはISS計画の参加国で行うことになっています。