性教育に見る「性的同意」の世界基準

ここまで、「本音を引き出せる環境」を作る大切さを語ってきたが、こういった視点を重視しているのはスウェーデンだけではない。例えば、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)やWHO(世界保健機関)など、5つの国連機関が共同で出版した、全世界に向けた性教育の国際基準、「International Technical Guidance on Sexuality Education」には、

・恋愛関係にあるパートナーとの交渉において阻害要因となるもの(性役割や、ジェンダーに基づく期待などを含む)を知ること
・同意する能力、同意を伝える能力に影響し得るもの(アルコールや薬物、ジェンダーに基づく暴力、貧困、力・権力差)を知り、性的同意を阻害する要因を避ける重要性を認識すること

といった項目が明記されている。また、重要なスキルとして、性的な同意・拒否の伝え方だけでなく、真の性的同意を阻むものを知った上で、本当に同意が実現されているのかを見分けるスキルもあげられている。

現在はまだまだ、最後の「Yes」「No」の一言だけが切り取られてしまうことが多いし、「Yes」さえ言わせればいいと逃げ道を塞ぐ手法で性的行為に迫るひとたちも実際にいる。しかし実際は、そのようにして得た言葉では、同意があったとはいえない。性的同意は、期待にも、性役割にも、プレッシャーにも縛られない環境があってこそ、はじめて実現するものなのだ。

具体的に私たちはどうすればいいのか?

とはいえ、具体的な話になると、「で、どうすればいいの?」という人は多い。そういう人はぜひ、パートナーに、「あなたが幸せだなと思うことしかしたくないし、嫌なときは我慢されるより嫌と言ってくれた方がうれしい」と、あの彼が言った言葉をこの際伝えてみてほしいと思う。

もしも、好意を持っていてアプローチしたい人よりも地位などの立場が自分のほうが上だったら、「このことを断ったからって、あなたの立場が危うくなることは絶対にない」と言葉添え、それを態度で示してほしいと思う。また、もしも断られたら「残念ではあるけど、本音を言ってくれてありがとう」と冷静に受け止めてほしいと思う。そんなきれいごと、と思うかもしれないが、お互いに本音に「気付き」「伝え」「実現する」経験を積むことが信頼の始まりだと思う。

他にも、具体的な思いの伝え方を相手と決めておくのもいいかもしれない。例えば言葉が難しい場合には、2回相手をタップしたら「力加減を抑えて」、3度のタップで「やめる」といった合図も決めておくのもひとつの方法だ。互いにとって違和感がない性的同意を伝える方法を見つけてほしいと思う。

ここまで読んで、何だか面倒臭そう、とか、ムードを壊してしまいそう、と思った人もいるかもしれない。でも、性的同意は決して面倒な厄介者ではない。お互いが幸せな時間を過ごすために必須なものだ。もっとポジティブに受け止めてほしいし、周りを見渡すと、私の肌感覚的だが、それを普通にできるひとの方が圧倒的にモテている。ぜひ、今日からあなたも、相手が本音を言えるオトナの余裕を醸してみてほしい。

“性的同意”に関して、もっと知りたい!という人には、世界的に人気を博した性的同意を紅茶で理解するイギリス発の動画や、日本でも性的同意を文化に!と頑張る団体「Genesis」がYoutubeにあげる「キモチ高め合う同意」なども参考になる。

この記事が、あなたをよりハッピーな毎日への一歩になることを願って。