「性的同意」そんな言葉を聞いたことがあるだろうか。性犯罪の裁判で「同意があったか否か」という「性的同意」が争点になることでご存知の方も多いだろう。それが泥酔のときにどうなのか、親子関係や上下関係があったときにどうなのか……その裁判判決を受けて「同意があったのか」「ちゃんと拒否したのか」の裁判所の判断経緯ついて大きな議論を呼んでいるところだ。

だが、「性的同意」とは、性犯罪だけではなく人と人との関係性の問題から始まる「誰にとっても必要な人権」のことだ。大学在学中にスウェーデンに留学し、そこで日本で受けてきた性教育では学べなかった「普通に性のことを考える習慣」を知った福田和子さんは、帰国して「#なんでないのプロジェクト」を始めた。そこで多くの実体験を集め、性について考えなければならないことを提唱し続けている。今回は福田さん自身が「これが性的同意ということなんだ!」と心からわかったという出来事を教えてもらおう。

ホントは嫌でも拒めない問題

相手に嫌われるのが怖くて、関係がこじれたくなくて、本当は気乗りしない性行為を受け入れてしまった――。

こんな経験、あなたはないだろうか?

「コンドームをつけてと言えない」「その行為は嫌だと言えない」「痛いと言えない」。どれも切実で、そういった悩みを抱える人は少なくない。性に関わる経験談を集めだして早1年。相手との関係性や職場での立ち位置を思うと、「嫌だな……」と思いながらも性行為をなんとか受け入れてしまう女性たち。彼女たちは、ひとり断れなかった嫌悪感や後悔、悔しさ、不安に苛まれる。そんな声を幾度となく相談等を通して聞いてきた。

世界的にみると、近年、「性的同意」という言葉が話題になっている。「性的同意」とは性行為の際に、互いがその行為を積極的に望んでいることを確認することを意味している。英語では“Sexual Consent”と表記される。

最近では、「相互の積極的なYes、性的同意がなければ全てレイプ」という法律を採択する国も増えてきた。2018年7月にスウェーデンでも、明確な同意のない性行為はレイプとする新法が成立したばかりだ。ところが日本ではいまだに、死ぬ気で抵抗しない限り法的にレイプとは認められない。だからこそ、日本で「性的同意」が注目されるこの流れは、大歓迎だと思っている。

父親と娘との間の性行為で「拒否できる状態にあった」として父親が無罪判決を下された際には、多くの人が疑問の声を上げた。福田さんも集まった人の前で話をした 写真提供/福田和子

しかし、一方で、私はふと思ってしまう部分もある。断れなかった女性たちの話を聞くと、相手のことを思ったり、配慮したりして、自分の想いとは裏腹に「Yes」と言ってしまうことが多い。こういった状況では、例え「Yes」以外がレイプになったところで、傷つく人は減らないと思えてならないのだ。

こういった話をすると必ず、「Yesと言った方が悪い」という意見が出てくる。そう切り捨てるのは簡単だ。しかし、世界で進む性的同意の議論を見ていると、ただ「Yes」をゲットすれば「性的同意OK!」なんて単純な話ではないことが分かってくる。そこには、日本ではまだあまり語られていない“アクションを取る側の責任”があるのだ。

それは簡単に言うと、「相手が意思表示しやすい環境を作ること」だ。