ゴーン氏サイドの秘策と噂された「報酬に関する特殊な論理構成」とは

東京地検が真っ青になった…?
時任 兼作 プロフィール

「イチロー式」報酬受け取り法とは?

この話を聞いた当初は、単純に「後払いならOK」という例としてゴーン被告の無罪立証に資するのか、と思いかけた。だが、よくよく考えてみると、腑に落ちない。

というのも、ゴーン被告の罪状のひとつである役員報酬の虚偽記載についての争点は、東京地検側が「確定報酬を隠していた」というのに対し、ゴーン側は「後払いであって確定していなかった」と主張しているというものである。しかしイチロー氏の場合、あくまでも年棒が確定された上での契約だった。

会計法上の規定からしても、報酬が確定しているならば、有価証券報告書に記載しないのはアウトである。東京地検はこの規定を踏まえ、今年2月、日産にゴーン被告の「引退後の報酬」として約92億円を計上させ、有価証券報告書の訂正を行わせてもいる。

とすると、なぜ東京地検は焦っているのか。

 

実は、カラクリはイチロー選が大リーグに進出した際、最初に結んだ契約にあった。ポイントは、出来高(インセンティブ)報酬だ。その後の契約では出来高が減っていくが、初回の契約だけは、かなりの出来高報酬があった。

そのしくみを詳しく記すと、こうなる。

200打席を超えると40~60万ドルが支給され、その後、50打席増えるごとに40~60万ドルが加算。450打席を超えた時点で200~300万ドルが支払われる。

また、このほかに、球宴に出場した場合やMVPなどを獲得した場合にも報酬が付く。

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この出来高報酬で、イチロー選手は1年目ですら基本年棒を超える額である240万ドルを得ている。金額は事後的に確定するので、仮に怪我などで欠場していれば、これほどの大きな額は受け取れなかっただろう。

ゴーン被告サイドは、ここに目を付けたとみられる。