歯を見せて笑うビッグスマイルってとっても魅力的。日常的に私たちが行っている「笑う」ことや「スマイル(笑顔)」について、知らなかったアレコレをご紹介します。

笑いってどうやって始まったの? 微笑みから進化したの? 今では日常動作となっている笑いの歴史や起源について、紐解いてみました。

教えてくれたのは……
西武文理大学 講師、日本笑い学会理事
瀬沼文彰先生
お笑い芸人として活動後、「笑いとユーモア」についての研究をするために転職。社会学者として活躍するほか、著書に『ユーモア力の時代』(日本地域社会研究所)などがある。

人間以外の動物も笑う

犬や猫が笑っている写真をSNSでよく見ますが、あれは本当に笑っているの?

「犬や猫が笑うかはまだわかっていませんが、チンパンジーなどの霊長類は声を出して笑うということが発見されています。とくにゴリラやオランウータンは、子どもの時代に遊びの場面で笑うことが多いですね」(瀬沼先生)

また、最近の研究では、声は出さないけれどネズミもくすぐると笑うことがわかったんだそう。ネズミが笑うなら、犬や猫だってきっと笑っているはず!

笑いのルーツは勝ち負けを
はっきりさせるための手段

笑いのルーツには諸説ありますが、瀬沼先生によると「権力闘争やヒエラルキーの中で、勝ち負けをはっきりさせるための手段だったという説が濃厚です。また、哲学者のアリストテレスも “勝者が敗者を笑う” というのが、笑いの元、人が笑う理由なんだと言っています」

これは笑いの三大理論のひとつで “優越の理論” と言われていて、自分以外の誰かが失敗したり不幸な状況に陥ったときに笑うことも含まれます。また、ダジャレも自分の優れた語彙力を見せつけるゲームという考え方も。

18世紀までは、世界中で笑いは
「ネガティブ」なものだった

写真提供:akg-images

「現代で笑いはポジティブなものとして捉えられていますが、もともとは否定的なものでした。宗教との関わりもあるようで、聖書では嘲りや蔑み、からかいというニュアンスで捉えられていたようです。優越したときに笑うことが基本だったよう」と瀬沼先生。

まだまだ研究途上といわれていますが、18世紀以前の絵画に笑顔が少ないのも、こういった理由から推測すると理解ができます。1500年代に描かれたモナリザの笑顔は珍しいものなんだとか!

「お笑い芸人」の笑いは
ズレと共感がポイント

18世紀にカントという哲学者が言い始めた、笑いの三大理論のひとつに “ズレの理論” というのがあり、実はお笑い芸人のネタにたくさん含まれてるんです。

「 “こう思っていたのに、想像と違う裏切られた結果になった” ときに笑いが生まれる漫才やダジャレは、ズレの理論という解釈です。また、“目薬をさすと口が開いちゃう” のような、あるあるネタなどは共感の笑いですね。これも、芸人の笑いのテクニックといえます」(瀬沼先生)

「笑い」はひとつではない!

普段私たちが笑うときは、シーンや感情によって自然に使い分けしているけれど、「実はきれいに分類するのは難しいんです。ここでは笑いの研究を行っていた医学博士の志水彰氏の考えを参考にし、笑いの分類を見てみましょう」(瀬沼先生)

「社交上」の笑い
人と協調するときや、相手に敵意はないとアピールするときなど。
「快」の笑い
勝利したり美味しいものを食べたあとなど、期待が充足したとき。
「緊張緩和」の笑い
想像と違う良い結果だったときに精神、身体的緊張を緩和するもの。
「作り笑い」
人間の弱点をついた、他者を意のままに操る手段としての笑い。

 

●情報は、FRaU2019年5月号発売時点のものです。
Illustration:Yurikov Kawahiro Text:Izumi Hashimoto