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ドイツがまさかの「脱・脱原発」に舵を切る可能性

夢から覚める国民が急増中で

2022年はもうすぐそこなのに

『FOCUS』誌の最新号によると、INSA研究所が3月19日と20日に行ったアンケート調査の結果、回答者の44.6%が、原発の稼働年数延長に賛成を表明したという。一方、3分の1の人は反対。22%が「わからない」だそうだ。

あれほど自分たちの脱原発計画を礼賛していたドイツ人が、今になって「稼働延長」だの、「わからない」だのと言っているとすれば、ひどい様変わりである。

ドイツは、福島第1の原発事故の後、2022年ですべての原発を停止すると決めた。多くの日本人が手放しで賞賛したメルケル首相の「脱原発」政策だ(脱原発政策はシュレーダー前首相の時からあったが、それをメルケル首相が急激に早めた)。

 

さらに彼らは今、空気を汚す褐炭による火力発電もやめ、その上、2038年には石炭火力まで全部廃止するというラディカルな計画に向かって突き進んでいる。

ドイツは石炭をベースとして成り立ってきた産業国なので、石炭と褐炭の火力発電がなくなれば、炭田、発電所、そして、その関連事業の林立する地域で膨大な失業者が発生して、ドイツ全体を不景気の奈落に落っことすことは目に見えている。だから、石炭・褐炭火力の廃止を決めたはいいが、いったい、それをどうやって実行するかは検討中のまま、なかなか結論が出ない。

その上、もっと困るのは、原発と石炭・褐炭火力のすべてが無くなれば、電力の安全供給が崩れることだ。原発を止めると決めた段階でさえ、すでにそれを警告していた人や機関は多くあったのに、主要メディアはその警告を無視し続けた。その代わりに、「自然エネルギーでドイツの電気は100%大丈夫!」という緑の党や、一部の学者や、環境保護団体の主張ばかりが報道されてきたのだ。

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しかし、いくら何でも、2022年というリミットが近づいてくると、そんな夢物語ばかりでは済ませられなくなってきた。

いうまでもなく、太陽光や風力といった再エネ電気は天候に左右されるので、供給が不安定だ。再エネ派は、「余った電気を蓄電しておけば問題なし」というが、採算の面でも、技術の面でも、まだ、それができないから困っているのだ。

大々的な蓄電方法が完成しない限り、石炭と風力以外にたいした資源を持たない産業大国ドイツが、再エネだけで電気需要を賄えないことは、少し考えれば中学生でもわかる。いくら送電線が繋がっているとはいえ、産業国の動脈である電気を、他国からの輸入に依存するわけにはいかない。

つまり、原発と石炭・褐炭火力が本当になくなれば、頼りになるのはガスしかなく、その重要性は、将来ますます高まるわけだが、建設が遅々として進まない。なぜかというと、ガス火力発電所を建設しても、今の状態では、これまた採算が合わないからだ(揚水発電所も同じ)。

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