カエルのオスは、メスを誘うときや、ほかのオスに縄張りを示すときなどに、大きな声で鳴きます。鳴くときには、のどやほおにある『鳴嚢(めいのう)』というやわらかい皮膚の袋を大きくふくらませます。
鳴嚢には、のどで発した音を大きくする働きがあります。ヒキガエルのように、鳴嚢がないカエルは、小さな鳴き声でメスを呼びよせます。
カエルたちは鳴くことで、繁殖パートナーを見つけるのです。
オスは、繁殖のため、近づいてきたメスに抱きつきます。しかし、メスとまちがえて他のオスに抱きついてしまうことがあります。そんなときは、「自分はメスじゃないよ」と知らせるために、求愛の声とは異なる声を出して相手に教えます。
ニホンアマガエルは、雨が降る前にケッケッケッケッと鳴くことがあります。気圧の変化を感じることで、雨が降ることがわかると考えられています。
カエルの卵とおたまじゃくしは、水の中で育つので、雨はとても大切です。きっと、オスは雨を待ちきれないで鳴いてしまうのでしょう。
そのほか、カエルの中には敵が近づいたときに鳴いて逃げることがあります。仲間に危険を知らせているといわれますが、近くにいるカエルたちは、その声を聴いても逃げないようです。
どうやら、力を入れてジャンプするときに、声が出てしまうだけのようです。カエルの鳴き声には、まだまだ解明されていない不思議がたくさんあります。
初夏の田んぼには、トノサマガエルやニホンアマガエル、ツチガエルなどが集まり、オスはいっせいに鳴きだします。その声は、カエルの種類によって異なります。カエルは耳がよくて、鳴き声を聞き分けることができます。
目の後ろをよく見てみましょう。丸くて大きな鼓膜があります。さまざまな声が混ざる中で、メスはなかまのオスの声を聞き分けて居場所を探すことができるのです。