ジャングルの「小さな巨人」グンタイアリにあえて噛まれてみたら!

モンスターハンターの「生きもの烈伝」
平坂 寛 プロフィール

離さない、離れられない!

あらためてアゴの形を観察してみると、釣り針のような「ものをひっかける」ための形であることがわかる。

フックのようなアゴの先。噛みついたらちょっとやそっとでは抜けないぞ。


これなら、いったん刺さってしまえば抜けることはない。

敵がどんなに暴れても、ふり落とされずに毒針攻撃をつづけられる。

それどころか、深く噛みついてしまうと自分でもアゴをはなすことができないようだ。

もはや自分でもアゴを引き抜けない。

こうなると、もはや死ぬまで敵の体に毒針を突き立てつづけるしかない。 兵隊アリたちの噛みつきは、仲間を守るための、捨て身の戦法だったのだ。

身近な〇〇〇〇も「捨て身戦法」使い!

命と引き換えの攻撃なんてありえない!

死んじゃったら意味ないじゃん!

と思うかもしれないが、じつはぼくらの身近にいるミツバチもこれとまったく同じようなことをする。

Photo by iStock


ミツバチの毒針には、釣り針や矢のように「かえし」がついていて、一度刺さると抜けないようになっている。

ミツバチは毒のつまったふくろごと毒バリをおしりから引きちぎり、敵の体に刺しっぱなしにして死んでしまう。

こうすると、毒ぶくろのなかの毒を、一滴残らず注入しつづけることができる。

ミツバチの毒針の「かえし」のかわりに、グンタイアリはカギ状のアゴをつかっているというわけだ。

仲間のためなら死んでもいい!?

ところで、グンタイアリもミツバチも女王を中心に仲間どうしで役割を分担している「社会性昆虫」である。

もし兵隊アリや兵隊バチが戦いで死んでしまっても、女王を守れば新しい兵隊たちがどんどん産まれてくる。

まさに命がけの毒針攻撃は、彼らにしかできない必殺技なのだ。

アリにしては大きな体をもつグンタイアリといえど、一匹一匹の力は弱く、簡単に死んでしまう。
けれど一匹の兵隊アリが死んでしまっても、その後ろには何百、何千という仲間たちが大アゴと毒針をふりかざして待ちかまえていて、必ず女王と仲間を救うのだ。

アマゾンのジャングルでも、こんなやつらに勝てる生きものはほとんどいない。

仲間を守る兵隊アリ

自然界ではたくさんのなかまと力をあわせることがいちばん強い生きかたなのだ。

いや、それは人間の世界でも一緒かもね。

【「WebMOVE」はこちら】
【『講談社の動く図鑑 MOVE 昆虫 新訂版』詳細はこちら】