「こういった予期不安に基づく回避行動が見られる症状を広場恐怖と呼びます。バス、電車や飛行機などの交通機関、エレベーター、お店、人ごみなどが苦手という人もいる。症状は人ぞれぞれだが、またパニック発作が来てしまうのではないかという予期不安から予期不安になりそうな行動はしない、予期不安が起こる場所にはいかない、という思考が生まれるようになります。

それによって、行動が狭まってしまったり、常に予期不安の恐怖を考え、それがまたストレスを増大させてしまったりする。パニック症でよく起こるループです」

パニック症を含む不安障害などに詳しい東急病院心療内科の伊藤克人医師はこう語る。

予期不安を感じる場所やシチュエーションは人それぞれだ Photo by iStock

告白が救いになることもある

パニック症が起きてからは、やる気満々で突っ走っていた新雑誌の仕事もザワザワ感がひどいときは休まなくてはいけない。このままでは仕事が遅れてしまう。あれだけやりたかった仕事だったのに、早く治さなくては、早く克服しなくては……と焦りまくる。しかし、焦る感情とともに、ザワザワ感が止まらくなり、動けなくなってしまう。まさに症状と不安の負のループに巻かれていた。

「こんなことに負けない!」と仕事を続けていたある日、ついに編集部でめまいとザワザワ感が始まってしまった。これはヤバイ……、困り果てた私は、編集部にいた仲間に、「ごめん、パニック障害なんです。今始まりそうなので、助けてもらってもいい?」と告げていた。すると、「わかった。私も学生時代よくなったから、無理しなくていいよ」、「私の姉もよくなってたからわかるよ」とそばに付き添ってくれた。

「え? そんなにたくさんいるの? 私だけが変なんじゃないの? もっと早く言えばよかった!」と思ったら徐々に緊張は緩み、結局、発作も出ずに乗り切ることができたのだ。このことがあってから、私は自分の気持ちを軽くする意味でも、パニック症であることを抵抗なく話すようにしている。

こうして抵抗なく話すことや、受け止めることは、まずはパニック症の治療にとても大切なのだという。

今回、初めて自らのパニック症体験を原稿にした。さすがに、断薬してから8年近く経っているから、平気だろうと思っていたのだが、原稿を書いている途中で、久々にザワザワ感に襲われることが何度かあった。そうか、パニック症は薬で治すというよりも、一緒に付き合うものかもしれない、と改めて実感した。

次の機会には、パニック症のつき合い方について、改めて伊藤医師に聞いていきたいと思う。

伊藤医師に聞いたパニック症第二弾「『新生活・前向き・気遣い』からのパニック症とどうつき合うか」の記事はこちら