史上初、ブラックホールの撮影に成功! 

人類が初めて目にする「黒い穴」
本間 希樹, ブルーバックス編集部 プロフィール

地球規模の望遠鏡で挑む

このような波長1ミリメートル前後の、ミリ波サブミリ波帯での地球規模のVLBI観測網の実現を目指すのが、EHT(Event Horizon Telescope:イベント・ホライズン・テレスコープ)と呼ばれる国際プロジェクトです。

“Event Horizon”とは「事象の地平線」を意味し、これはブラックホールが「事象の地平線」で覆われていることにちなんだ名前です。

米国のマサチューセッツ工科大学とハーバード大学を中心に、ドイツやオランダなどの欧州の国々、また日本や台湾などのアジアの国々、そしてメキシコやチリも参加する、非常に国際的なプロジェクトです。

EHTプロジェクトの観測局(Credit:NRAO/AUI/NSF)

EHTの参加局はミリ波やサブミリ波での観察に適した場所に建てられているので、どの観測局も標高の高い山か、極寒の極地など、寒くて空気中の水蒸気成分が少ないところにあります。

ブラックホールの観測を目指す研究者には、高地や極寒の地でもやっていける「サバイバル力」も必要なのです。

日本でも、筆者ら国立天文台の研究者を中心とするグループが、すでに10年近くこの国際プロジェクトで活躍しています。

どのような結果が出るにせよ、これからの数年~10年間は、巨大ブラックホール研究にとって、とても楽しみかつエキサイティングな時代になります。

このような時期に研究者として活動でき、しかもEHTのようなプロジェクトに直接的に関わることができる私たちは、科学者として、たいへん恵まれていると思います。

読者の皆さんも、巨大ブラックホールにスポットライトが当たる歴史的瞬間の到来を、大いに期待していてください。
 

『巨大ブラックホールの謎』(本間希樹)
日本チーム代表として、ブラックホール直接撮像に挑んだ著者が、ブラックホールの魅力と10数年にわたるEHTプロジェクトの全貌を詳しく解説。