史上初、ブラックホールの撮影に成功! 

人類が初めて目にする「黒い穴」
本間 希樹, ブルーバックス編集部 プロフィール

じつは小さい巨大ブラックホール

巨大ブラックホールは恒星質量ブラックホールに比べて重さが桁違いに大きいので、半径もそのぶん巨大になります。ところが、そのような巨大なブラックホールといえど、他の天体に比べると、じつはたいした大きさではありません。

どんなに大きな巨大ブラックホールといえど、太陽系くらいの大きさしかなく、銀河全体から見れば非常に小さなほぼ「点」にすぎないのです。

たとえば天の川銀河の中心にあるブラックホール、いて座Aスター(Sgr A*)の場合、質量は太陽400万個分で、半径は1200万kmとなります。これは、地球と太陽の距離のわずか8%程度です。

巨大ブラックホールは意外に小さい(『巨大ブラックホールの謎』より)

ブラックなのに宇宙でいちばん明るい!?

さらにもう一つ驚くべき特徴は、巨大ブラックホールは「宇宙で一番明るい」天体なのです。

こんなことを聞けば読者の皆さんは「え?」と思いますよね? なにしろ光さえ飲み込んでしまう、文字どおり暗黒の天体だったはずですから。

しかし、ブラックホールが暗黒であるのは、真空中に単独で存在している場合の話です。銀河の中にブラックホールが存在すると、その強い重力によって周囲に漂っているガスを引きつけます。

ガスは次第に中心に落ち込んでいき、やがてブラックホールの周囲をぐるぐる回転するガス円盤(降着円盤)を形成します。

このガスは、ブラックホールの重力によって光速度に近い回転速度まで加速されます。その際、摩擦によって非常に高い温度まで熱せられるので、たいへん明るく輝くのです。

このようなブラックホールと考えられている天体の中には、太陽の1兆倍以上の明るさで輝いているものもあります。

念のためですが、明るく輝いているのはブラックホールそのものではなく、その周りの降着円盤です。しかし、この降着円盤はブラックホールに近いところにあるので、見かけの大きさがたいへん小さく、これまでそれを分解して見た人はいませんでした。

ブラックホールのもうひとつの特徴

ブラックホールは、すでに説明した2つの成分(本体と降着円盤)に加えて、その近傍から放射されるジェットを持っています。

ジェットとは、ガスが細く絞られながら速い速度で出ていく現象を表す言葉で、日本語では「噴流」などと訳されます。

飛行機のジェットエンジンは、噴流を作り出してその反作用で推進力を得る装置です。あるいはもっと身近なものでいえば、水鉄砲からでる水も、細く速い速度で飛ぶので、噴流の一種と考えてよいでしょう。

ブラックホールから出るジェットは、光速に近い速さで、非常に遠くまで細く絞られて飛び出していくのが特徴です。

このようなジェットがどのように生成されるか、どのように光速近くまで加速されるか、そしてどのように細く絞られるかは、まだ謎として残されています。