元経済ヤクザが解説「ゴーン氏が打った4つの致命的悪手」

そして最悪の結末も見えてきた…

保釈中だった日産元会長、カルロス・ゴーン氏(65)が新たな特別背任容疑で再逮捕された。「オマーン・ルート」着手や、アメリカの捜査「参戦」までの大筋の流れは、昨年11月30日から私が書いてきたシナリオ通りだ。

600億円を銀行ごとアメリカに収奪された経験のある私は、ゴーン氏と家族の財産が、アメリカに没収される展開まで考えている。ゴーン一族にとっては最悪の展開だが、「名経営者」と謳われたゴーン氏が逮捕後に打った悪手の連発が招いたものである。

今日4月11日は、逮捕されていなければゴーン氏が「真実をお話しする」日だった。代わって、私がゴーン氏の悪手(打つべきではなかった手)の数々についての解説をしたい。

 

検察は「5枚目のカード」を持っている…?

4月4日、東京地検特捜部が「オマーン」を舞台にした新たな特別背任容疑で、ゴーン氏を再逮捕した。4回目の逮捕となったここまでの展開は、『元経済ヤクザが大胆指摘!「ゴーン氏逮捕にちらつく米国の影」(18年11月30日)』や、19年1月23日の『元経済ヤクザも驚愕「ゴーン事件、カネの流れから見えて来るもの」(19年1月23日)』などで書いた内容と大筋で一致する流れとなっている。

まずは、現時点での報道を元に、今回の容疑内容を時系列で整理しよう。

●09年1月、ゴーン氏はオマーンの日産車販売代理店「スハイル・バハワン自動車」(SBA)のオーナー、スハイル・バハワン氏から約30億円を私的に借り入れる
●この直後からゴーン氏は中東日産にSBAからの代金支払いの長期間猶予と、猶予中の金利を大幅にディスカウントすることなどを指示した。SBAの特別優遇により、日産の逸失利益は10年間で約81億円にのぼる
●12年~17年にかけて、ゴーン氏の指示により「中東日産」から、SBAに毎年500万ドル(13年のみ700万ドル)、総計3200万ドル(約35億円)が、「報奨金」の名目で振り込まれた。(使われたのはゴーン氏が決算権を持つ「CEOリザーブ」)
●15年、SBAの経理担当幹部がレバノンに「投資会社」を名目にした、ペーパーカンパニー「グッド・フェイス・インベストメンツ」(GFI)を設立。(GFIはゴーン氏が実質的に保有して、資金移転の拠点とされている)
●設立直後から、SBAからGFIに計約3650万ドル(約40億円)が送金された
●15年、ゴーン氏の妻キャロル氏が代表を務めるビューティー・ヨットが設立
●GFIからは、妻が代表のビューティー・ヨットに約9億円、息子が代表を務める「ショウグン・インベストメント」に約30億円が送金された
ゴーン氏写真はgettyimages、バハワン氏写真はSBAホームページより

今回の逮捕は、15年12月~18年7月に中東日産からSBAに送金された1500万ドル(約16億8900万円)のうち、SBAからGFIに送金された500万ドル(約5億6300万円)に対する特別背任容疑によるものだ。SBA→GFIの送金額約3650万ドル(約40億円)より少ない金額での逮捕となったことなどから、地検が5回目の再逮捕のカードを持っている可能性があることも自動的に導き出せる。

経営能力を疑う一手

特捜部が扱う事件についての報道が、地検サイドからのリークに依拠したものであることは、「暗黙の了解」だ。検察側の主張に世論を誘導するために、地検が虚実を交えて「関係者」として報道をさせるのはいつもの手口。そこは割り引いて捉える必要がある。

それでも今回の事件は「疑う余地が少ないだろう」というのが、黒い経済界の評価だ。送金額、送金時期、送金先の会社名、使い込んだ内容などがあまりにも具体的で詳細であるからだ。同時に特捜部はかなりの「物証」を押さえていると私は考えている。

だが、改めて私が指摘したいのは、「らつ腕」と評価されたゴーン氏の経営者としての資質についてだ。

ゴーン氏が、一連の黒い資金移動に手を染めたきっかけは、08年のリーマン・ショックにより、投資していた「通貨デリバティブ」が巨大な評価損を抱えたことと報じられている。

しかしリーマン・ショックは、その前年に起こったサブプライム問題の発端「BNPパリバ・ショック」から連鎖する形で発生した。したがってパリバ・ショックの瞬間から、通貨の投資を行うなら「円高一択」でしかありえなかった。それなのにゴーン氏が通貨デリバティブで巨額損を抱えたというのは、莫大な金額の輸出入を行う日産のトップにしては、あまりにもお粗末な読みだったと言えるだろう。