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ゴーン氏妻の出国が示した、事件とは違うもうひとつの「論点」

国家がもはや家族を代替する中で

ゴーン氏の妻はなぜ出国できたのか?

カルロス・ゴーン氏の事件は、日本やフランスを騒がせたが、今度はゴーン被告の妻の出国が大きな注目を浴びている。

もちろん、日本は国民(居住者・滞在者)の自由を尊重し守る自由主義・民主主義国家だから、基本的に出国の自由は保障されている。

ちなみに、世界中の多くの独裁国家では出国の自由は無く、逆にキューバのように、米国への嫌がらせのために、自国の反体制派などの国民を米国に難民として大量に送り込んだ国もある。トランプ氏が難民阻止のための壁建設にこだわるのも、この時の記憶があるからかもしれない。

ただ、今回は法律的な細かな解釈は別にして、「道義的に正当な理由」があっての出国であったかは疑問である。

キャロル夫人自身の弁解はともかく、日本の検察によるキャロル夫人が代表を務める企業に関するものも含めた事情聴取の予定がある中での出国である。「聴取から逃れるための逃亡」であると思われても仕方が無い。

また、検察はキャロル夫人のレバノンのパスポートを差し押さえたのにも関わらず、米国のパスポートであっさりと出国されてしまった。彼女が二重国籍であることを想定せず、調査していなかったのであれば、検察の大失態である。

 

また、このような重要人物の情報収集がきちんとできる体制が構築されていないのであれば、日本の情報収集・諜報能力の限界とも言える。日本でも本格的諜報機関の設立が急務であることは、当サイト2月19日の記事「本格化する『第二次冷戦』、日本が生き残るには諜報の強化が必要だ」で詳しく述べている。

一般の日本国民は、日本国籍1つだけであるのがごく普通である。したがって、検察にパスポートを差し押さえられたにもかかわらず、他国のパスポートを使ってやすやすと出国するなどという芸当はできない。

これは、厳しく言えば「法の下の平等」に反するのではないか? また、ごく一部とはいえ犯罪行為を助長することにはならないのだろうか?