衝撃!年収1500万円超世帯の「行動パターン」が激変している

世界から取り残される危機感の現れだ…
加谷 珪一 プロフィール

あくまで表面的なレベルではあるが、シンガポールが豊かな社会を実現できている最大の理由は、先ほど説明したグローバル・スタンダードに徹底的に準拠しているからである。

究極的には独裁国家でありながら、庶民の身近な生活においては、日本よりも圧倒的に民主的で人権が保護された社会が構築されているという事実は、筆者のようなジャーナリズムに身を置く人間からすれば、最大の矛盾と皮肉である。

タイやカンボジアも似たような傾向がある。タイは政情が安定せず、今は軍部による独裁政権だが、外国人の受け入れとサービスのグローバル・スタンダード準拠は国是となっており、この部分だけはまったく揺らぎがない。

ある部分に限って言えば、日本よりもタイの方が圧倒的に便利な社会になっており、アジアの小国としては突出した数の外国人が首都バンコクを訪れている(東京の2倍以上)。

 

ITの発達が「人と会う価値」を高めた

外国に移住とまではいかなくても、グローバル・スタンダードな生活様式に慣れておいて損はない。いずれ留学することもあるだろうし、日本に住み続けるにしても、こうした行動様式が分かっていれば、海外とのやり取りもスムーズになるだろう。高額所得者が小学生を積極的に海外に連れ出す理由はそこにある。

新しいグローバル・スタンダードに準拠した生活を望むという動きは、実は日本国内でも顕著となっている。メディアで取り上げられるようになったので、多くの人が見聞きしていると思うが、東京では都心への人口流入が加速しているのだ。

〔PHOTO〕iStock

かつて高いブランド力を誇った郊外の高級住宅地の不動産が大きく値崩れする一方、バブルと言われながらも都心マンションの価格は大きく上昇している。先日、ある大手デベロッパーが、郊外の高級住宅地で低層マンションを売りに出したものの、多数の売れ残りが出て販売に苦慮しているという。売れなかった最大の理由は、都心からの距離と駅からの距離が遠いことである。

ITの普及が始まった時点では、ITによってコミュニケーションの障害がなくなり、地域格差が消滅するとの期待があった。だが全世界的にITの普及は逆の効果をもたらしてしまった。単純な要件がITで済んでしまう分、直接、会って話すことの価値が高まり、人口の拠点集約が進んでしまったのである。

今後、シェアリング・エコノミーがさらに普及することは確実だが、リアルなモノをシェアをする場合には、近いエリアに住んでいることが重要な意味を持ってくる。皮肉なことだが、都市部ほどウーバーのようなサービスが普及しやすく、多様な人が住む結果となるので、生活は限りなくグローバル・スタンダードに近づいていく。

つまり「社会のIT化」「グローバルス・スタンダード」「ライフスタイルの都市化」という3つの概念には密接な関係があるのだ。このまま何もせずに放置すれば、日本国内において、経済面とは別に社会面でも格差が拡大するリスクがある。

地方にある拠点都市への人口集約を積極的に進めるなど、生活様式の都市化やIT化といった各種支援策について真剣に検討する必要があるかもしれない。