衝撃!年収1500万円超世帯の「行動パターン」が激変している

世界から取り残される危機感の現れだ…
加谷 珪一 プロフィール

年収1500万円以上の世帯の場合、ビジネスクラスに乗っている確率は高いので、この層に限っては、むしろ旅行にかかる費用は増えているはずだ。それにもかかわらず、頻度がこれだけ上がっているということは、かなり意図的に海外に連れ出していると推察される。

このデータは社会生活基本調査で得られたものであり、海外に行った理由までは分からないが、おおよそ推測はできる。グローバルな行動様式を身につけさせるため、子どものうちから経験を積ませているのだ。

日本にいるとあまり気付かないが、諸外国では国籍や文化が異なる人たちがスムーズに共生するための共通行動様式が確立しつつある。いわゆるグローバル・スタンダードと呼ばれるものだが、従来で言うところの欧米流とは異なる。

 

確かに共通言語は英語で、社会インフラの多くは欧米で発達したものがベースになっているが、アジアや中東の人でも違和感なく行動できるよう、いわゆる欧米流からはかなりアレンジしてある。食べ物も同じで、それぞれの国に行けば、それぞれの国の特長を生かしたテイストになっているが、グローバル・スタンダードに準拠したお店であれば、ほぼ似たようなメニュー構成や価格体系だ。

ホテルや住居、交通機関やSIMカードといったハード面はもちろんのこと、他人との関わり方や表情の作り方、会話の内容や服装、食事のマナーなど、社会のあらゆる面で共通化が進んでおり、このパターンに慣れてしまえば、どの国に行っても基本的に大きく迷うことはない。

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世界から取り残される危機感

年収が高い親たちは、子どものうちからこうした行動様式に慣れさせた方が有利と考え、あえて小学生を海外に連れ出していると考えられる。当然だが、こうした動きが顕著になっていることの背景には、日本社会が世界から取り残されているという危機感があることは言うまでもないだろう。

近年、あちこちでシンガポールなどアジアの都市に移住したという話を耳にするようになった。筆者の周囲でも現地に渡った人が何人もいるので、顕著な動きといってよい。

よく知られているように、シンガポールはリー・シェンロン首相による、事実上の独裁国家であり、欧米の価値観に照らせば民主国家と呼ぶことはできない。だが、こうした豊かな独裁国家には、政権批判さえしなければ、国民は幸せに暮らせるという絶妙な仕掛けが構築されている。

禁煙や男女平等、残業抑制、IT活用、子育て支援、時代に合った教育システムなど、日本ではメドすら立たない諸問題がシンガポールではいとも簡単に解決している。政治的な思想を持たず、純粋にビジネスキャリアを磨いて豊かな生活を送りたいと思っている層にとって、シンガポールのような国は魅力的だ。