イージス・アショア「異様なレーダー選定」の茶番を見逃してはいけない

また日本がカネを巻き上げられるのか…
半田 滋 プロフィール

設置地域の町長は激怒した

レーダーは機種ごとに特性があり、SSRの完成を待って出力を実測しなければ意味がないといわれる。

むつみ演習場に配備が予定されるイージス・アショアの正面には人口1200人の山口県阿武町がある。もし実際にミサイル迎撃を行うような事態になれば、レーダー波どころか、発射する迎撃ミサイルの第1段ロケットにあたるブースターが落下する危険さえある。

防衛省は昨年10月13日、地元のむつみ地区で開いた住民説明会で「ブースターは、遠隔操作で確実に演習場に落下させる」と説明したが、住民からは「確実だと言い切れるのか」「信頼できない」などと不安を訴える声が相次いだ。

この前日、萩市議会に出席した防衛省の五味賢至戦略企画課長は、迎撃ミサイルの2段目、3段目ロケットの落下場所について「絶対に陸上に落ちないとは言えないが、弾道ミサイルが我が国領域に直撃することと比較すると、被害は比べものにならない」と発言。市議会に出席していた阿武町の花田憲彦町長が「町民に犠牲になれと言うのか」と激怒する場面もあった。

 

一見、説明会や現地調査といった手順を踏むように装い、住民への配慮を演出する防衛省の姿勢が「茶番」であることは、五味課長の言葉が証明している。沖縄の辺野古新基地と同様、イージス・アショアも結局は「配備ありき」なのだ。

配備を前提にしたイージス・アショア周辺の飛行制限区域の設定調査は5月に終わる。ミサイルを探知する米軍のXバンドレーダーが置かれた青森県つがる市の車力通信所、京都府京丹後市の経ヶ岬通信所と同じように、半径6km、高さ6km程度の飛行制限区域が設定される可能性は高い。

飛行制限区域が設定されれば、ドクターヘリの運行に支障が出るばかりでなく、航空機の飛行経路の変更も余儀なくされる。

住民の日常生活を脅かし、有事にはロケットが落下する危険さえあるのに「安全だ」と強弁するのは「茶番」を通り越し、住民を「愚弄」しているというほかない。

昨年、市街地から4kmの米軍基地にイージス・アショアが配備された欧州・ポーランドのスウプスク市の場合、配備が決まった後になって、米軍から市に対し、さまざまな制限事項が示された。飛行制限のほか、建物の高さ制限まであった。

秋田市もイージス・アショアと市街地が隣接するため、ポーランドが前例になる。どのような制限が出てくるのか、「後出しじゃんけん」で市の発展を阻害しないよう防衛省は地元へ情報提供を行う義務があるが、今のところ「飛行制限の可能性」以外の説明はしていない。

イージス・アショアの導入見直しに匹敵する「誤算」が明らかになったにもかかわらず、配備へ向けた「茶番」を続ける防衛省。制限事項については、米側から情報を得ながら隠している疑いさえある。いったい、だれから何を防衛しようというのか。