イージス・アショア「異様なレーダー選定」の茶番を見逃してはいけない

また日本がカネを巻き上げられるのか…
半田 滋 プロフィール

「想定外の費用負担」が発生

今年3月12日の衆院安全保障委員会で、岩屋毅防衛相は、SSRの試験施設の建設費用と,同施設を使ったミサイル迎撃実験の費用を負担するよう米側から求められていることを明らかにした。

SSRを採用したことにより、想定外の費用負担の可能性が出てきたのだ。

SSR、SPY6はともに開発中だが、仮にSPY6を選択していれば、米政府も同じレーダー採用するため実験施設は不要となり、ミサイル迎撃実験の費用も米政府が負担した可能性が高い。日本側の負担はゼロだったかもしれないのだ。

岩屋氏は「費用負担が生じる場合は全体コストを削減する交渉を行っていきたい」と述べ、費用負担が生じる可能性を認めた。

レーダーの選定は、防衛省が出した質問に提案者が回答する形で行われた。価格についての質問に、実験施設建設費やミサイル迎撃実験の有無を含めていなかったのは明らかだ。もし含まれていれば、価格面でSPY6が逆転した可能性は高い。

「甘い選定作業」の結果、本来、負担しなくてもよかった費用を負担することになるとすれば、だれが責任をとるのか。

 

無意味な「現地調査」

見通しの甘さは、ほかにもある。

SSRが選定された理由の中には、日本企業の参画があった。レーダー素子に富士通の窒化ガリウム半導体が採用される見通しだったことが、加点の材料となったのだ。

ところが、昨年12月になって防衛省で再検討したところ、富士通が参加することで納期が遅れ、導入費用も上がることが判明した。防衛省は富士通を外し、国内企業の参画を断念した。

防衛省の末永広防衛計画課長は「複数ある評価項目から国内企業の参画を差し引いても(選定)結果は変わらない」と説明する。

だが、SSRの実験施設の建設費とミサイル試射の費用を日本が負担することになった場合、その金額を上乗せしても、本当に「結果は変わらない」のだろうか。ここまで「誤算」が重なった以上、選定を振り出しに戻し、やり直すのが筋だろう。

防衛省は地元対策として、3月から候補予定地の新屋演習場、むつみ演習場の2ヵ所に陸上自衛隊の中距離地対空ミサイル「中SAM」のレーダーを持ち込み、電磁波の影響を調べる現地調査を開始した。

自衛隊が持つ「中SAM」のレーダー車両

イージス・アショアは、北朝鮮のある日本海上空の方向にレーダーを向けて運用するが、電磁波は地上にも漏れる。防衛省は3月1日には、新屋演習場でレーダーから約400m離れた地点で電磁波を計測し、「事前に机上計算で想定した値の約20分の1だった。総務省の電波防護指針よりはるかに小さい」と発表した。

しかし、宇宙空間まで届くイージス・アショアのレーダー出力は、中SAMのレーダーと比べ、ケタ違いに大きいとされる。住民らが「(実際のイージス・アショアと)出力はどれほど違うのか」と質問しても防衛省の担当者は答えなかった。

「こんな調査では意味がない」との不満は、むつみ演習場の現地調査でも上がった。防衛省は3月末までの予定だった両演習場での調査を5月まで延長、「実測調査の結果を精査する」と説明しているが、納得する住民がどれほどいるだろうか。