ポーランドの米軍基地に配備されたイージス・アショア(Photo by gettyimages)

イージス・アショア「異様なレーダー選定」の茶番を見逃してはいけない

また日本がカネを巻き上げられるのか…

新「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」に明記され、導入へ向けて既成事実化が進む、アメリカ製の地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」。ここへ来て、国内企業が参画を断念したり、日本が実験施設の建設費まで負担する話が持ち上がったりと「誤算」が目立ってきた。

その一方で、イージス・アショアとは比較にならない小さな出力の自衛隊のレーダーを配備候補地に持ち込み、地元に安全性をアピールする「茶番」が行われていたことも明るみに出た。「誤算」と「茶番」が交錯するイージス・アショアの今を検証する。

 

なぜ採用実績のないレーダーを選んだ?

イージス・アショアは、イージス護衛艦が搭載する「イージス・システム」を地上に置いた地上配備型のミサイル防衛システム。防衛省は地上配備の利点として、艦艇のように乗員の疲労がないこと、補給が容易なことを挙げる。

配備候補地は秋田市の新屋演習場、山口県萩市のむつみ演習場の2カ所。どちらの周辺住民も「レーダー波(電磁波)による健康被害の不安」や、ミサイル基地となることから生じる「周辺地域を含めて標的となる危険性」を理由に、配備反対を訴えている。

昨年7月には、防衛省でレーダーの機種選定が行われた。米ミサイル防衛庁とロッキード・マーチン社が提案した「SSR」と米ミサイル防衛庁が提案した「SPY6」を性能、後方支援、経費、納期の4項目で比較した結果、SSRの採用が決まった。

防衛省はこのSSRについて、日米で共同開発中の迎撃ミサイル「SM3ブロックⅡA」の射程と同じ1500kmまで探知できる能力があり、1基あたり約1340億円とより安価だったことを採用の理由に挙げる。

米ミサイル防衛庁がSSR、SPY6両方の提案者となっているのは、ミサイル探知から迎撃までを統制する「イージス・システム」を同庁が管理しているからだ。

イージス・アショアには、レーダーのほか、米軍が開発した「イージス・システム」が不可欠なため、どちらのレーダーを選択しても、米政府にカネが転がり込む仕組みとなっている。

日本政府は、SSRは一般輸入するものの、「イージス・システム」は価格、納期を米政府の都合で決める対外有償軍事援助(FMS)の枠組みで導入する。

これまでも日本は、イージス護衛艦や地対空迎撃ミサイル「PAC3」といったミサイル防衛システムの導入に2兆円近い巨費を投じ、このうちの多くが米政府に支払われている。ミサイル防衛は米国の懐を潤す「打ち出の小槌」でもあるのだ。

SPY6の提案者に、製造元であるレイセオン社の名前がないのは「SPY」レーダーが米軍のイージス・アショアに採用されているためで、いわば右代表で米ミサイル防衛庁が提案者となった。裏を返せば、防衛省は米政府に採用実績がないレーダーを選んだことになる。

このことが後にあらたな問題を生むこととなった。

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