ストレスは嫌、でも綺麗でもいたい

ただ、おしゃれや美容というテーマのなかで、何が響くかは世代によって違ってくるという。ヘア特集を例にその違いを具体的に見てみると──。

「ヘアというのは女性誌においてメジャーなテーマです。10代でも40代でも一様に関心がある。しかしシニア世代の髪の悩みは切実かつ独特で、調査の結果、『白髪』と『ボリューム』が2大関心事だということが分かりました。かつ、白髪は、『染めて若々しくいたい』気持ちと、『何十年も染め続けるのはストレス』という気持ちが同居していることも読み取れました」

そこで、『ハルメク』では、読者世代の関心に合わせ、白髪とうまく付き合う方法や、ボリュームのなさを補う部分ウィッグなどを紹介。大きな反響を得た。

「まだしばらくは染めたい方々には、すぐに出てきてしまう部分白髪を、自宅で上手に染める方法を紹介しました。生え際をきれいに染めるためのコツなどは、ずいぶん喜ばれました。一方で、そろそろ染めるのを卒業したいと思われている方々には、新しい選択肢として、『グレイヘア』を提案。白髪でもおしゃれな女性でいたい、という層から大きな支持がありました。

さらに、ぺたんとしてしまった髪は、いっそ部分ウィッグでボリュームアップしたらいい、恥ずかしいことじゃないと提案して、大手メーカーさんと共同開発したウィッグの通販も展開しました。『気持ちが軽くなった』というお声をたくさん頂き、ウィッグは完売するほどの人気でしたね」

読者の声を誌面に最大限に活かすことを編集方針に掲げ、同じスタンスで通販事業も展開している『ハルメク』を体現するような特集となった。

「実はできない」をユーモラスに川柳にして具体的な解決策を伝える記事。言葉の選び方もわかりやすくしている。例えば人気のスマホ特集では「スワイプ」といわず「なでる」と書いている。大切なのはシニア世代の感覚に徹底して寄り添う細やかさなのだ。

2018年7月に厚生労働省が表した簡易生命表によると、2017年の日本人女性の平均寿命は87.26歳。過去最高を更新した。人口の半分以上が高齢者となる未来はそう遠くない。そんななか、『ハルメク』の読者世代にあたる、中高年層が求めているものとはなんなのか。改めて山岡さんに尋ねてみた。

「日常的に、楽しく、明るく、納得して生きるためのノウハウ、つまり生き方のヒントだと思います。老後はどんどん長くなっています。子育てが終わり、配偶者や自分も定年退職を迎えて、一段落ついたけれど、この先まだ40年もの人生が残されているかもしれません。その人生において、新しい目標や楽しみを見つけ、いかに楽しく、若々しく、過ごすことができるか──。その答えを探し続けているのではないでしょうか」

「よりよく生きるためのヒントをずっと探し続ける」と考えると少し面倒な気もするけれど、言い換えれば、「何歳になっても幸せを掴むチャンスはある」ということ。年齢を重ねるのは、やっぱりそう悪いものじゃない。