85歳講師による超満員体操イベント

『ハルメク』は、雑誌から派生した通販部門を持ち、旅行、イベントなども展開している。編集長である山岡さんは、大きなイベントで挨拶をすることも少なくない。

「入社してすぐの頃、きくち体操のイベントに参加したんです」

「きくち体操」とは、菊池和子さんが50余年にわたり築き上げてきた体操で、テレビでも「奇跡の体操」と呼ばれるなど、中高年層を中心に絶大なる支持を得ている。『ハルメク』では10年以上前から「きくち体操」の連載があり、定期的に実施されるイベントは、菊池さんが直接指導を行う。これがいつも大盛況なのだとか。

「菊池先生は、85歳とは信じられないくらい溌剌としています。イベントの主体は、菊池先生の“お説教”です(笑)。“腰はもともとは痛いものではなく、痛くしたのは自分でしょ” “今だけやってもダメよ!”といった感じで怒られちゃうのですが、参加者のみなさんは、とても楽しそう! 笑って、パワーをもらって、健康になれたら、こんないいことはないですよね」

きくち体操の「ハルメク」読者イベントにて。85歳とは思えぬ溌溂な姿 写真提供/ハルメク

『ハルメク』の編集方針は、「読者目線」。社内に、「ハルメク生きかた上手研究所」という調査部隊を立ち上げ、読者のライフスタイルや関心事を日々リサーチしている。また、読者ハガキも、2000通以上戻ってくるそうだ。そんな読者と編集部の距離が近い『ハルメク』だからこそ、その記事への反響から、読者が求めるものが垣間見えてくる。

「読者は興味がない」の思い込み

編集長に就任して間もなく、山岡さんは、おしゃれや美容についての特集を増やすことを決めた。当初は編集部員から、「うちの読者はそんなに興味がないのではないか」「もっと社会や人生の重要な問題を取り上げるべきではないか」という声も出たという。

「長く続いている雑誌にありがちなのですが、雑誌を作る側の私たちに、『ハルメク』読者たるものこうあるべし、といった思い込みがあったんです」

改めて調査を行ったところ、『ハルメク』読者も、より若い世代と同じように、おしゃれや美容にも高い関心を抱いていることがわかった。しかもそれは、人生の幸福度に大きな影響を与えていた。読者モデルを募集したときも、「一度やってみたかった」と、一回の募集で、約100通の応募があったという。

「おしゃれや美容、旅、節約と、感覚は若い人と変わりません」