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フランスでなぜ「同性婚」が認められたのか、その根本的理由

カギは男女平等の進展にあった
同性パートナーシップ制度が整備され、その後、同性婚が認められたフランス。その展開の背景には、男女平等の進展による結婚や家族の形の変容があった。裏を返せば、男女平等の進展こそが、同性婚を認める寛容な社会を作るのだ。

なぜフランスで同性婚が認められたのか?

先進7カ国で同性婚が認められていないのは、カトリックの影響の強いイタリアと日本に限られる。

もっとも、イタリアでも同性パートナーシップは2016年に法制化されており、同性カップルの権利保障に関しては日本だけがことのほか他国に遅れをとっていると言える。2015年以降、自治体レベルでは、同性パートナーシップが広がりつつあるものの、日本の同性カップルには未だに法的身分がないからだ。

その日本で今年2月14日、13組の男女の同性カップルが一斉にアクションを起こした。恋人たちが愛を誓うバレンタインデーに結婚の自由を求めて、国を提訴したのだ。

フランスでは1999年に同性カップルにも異性カップルにも結婚に準じた諸権利を認めるフランス版パートナーシップ制度「パックス(連帯市民契約)」が法制化された。結婚より規則が緩く、単なる同棲よりも法的権利を享受できる制度だ。

そして2013年には、「みんなのための結婚法」が制定され、同性カップルに結婚の自由が認められ、同時に、同性婚カップルは養子縁組もできるようになった。

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フランスで同性婚が認められるようになった背景には何があるのだろうか。そして、同性婚と同性婚カップルの養子縁組が可能になった現在のフランスで、残る課題は何だろうか。

ここでは、フランスの法社会学者、イレーヌ・テリーの『フランスの同性婚と親子関係』(石田久仁子・井上たか子訳、明石書店、2019年)を手がかりに、最近数十年のフランスの歴史を振り返り、その答えを探りたい。

まずもって注目すべきは、この間の「男女平等」の進展だ。それが、社会の基盤であった結婚や家族の変化、社会全体の変化をもたらし、パックス、ついで同性婚への道を開いたと言えよう。

だが課題も残る。テリーが指摘するのは親子関係の問題だ。それは同性カップルだけでなく異性カップルにも関係するものである。養子縁組とドナーを介した生殖補助医療(第3者による精子や卵子の提供を伴う生殖補助医療)で生まれた子どもとの親子関係が、従来の親子関係モデルに基づいたままであるからだ。

 

そのことが、同性婚カップルがドナーを介した生殖補助医療を受けることを妨げてもいる。同性婚を認めた社会にふさわしい、新しい親子関係法をつくるべきだ、とテリーは主張する。それは多様な家族の現実を受け入れた、異性カップルにも同性カップルにも共通するものでなければならない。

では同性婚を可能した背景と同性婚を実現した後の課題を順に見て行くことにしよう。