# 介護

母から「冷たい息子」と呼ばれて、うつになった44歳男性の悲劇

父親を献身介護して看取った末に
太田 差惠子 プロフィール

再同居拒否は正しい選択だと信じて

カズヤさんがこれほど悶々とするのは、母親から「冷たい息子」と言われたことよりも、次の2つの理由からなのではないかと思います。

1 父親が亡くなり、ほっとしたことに後ろめたさを引きずっている。
2 母親に押し切られ、実家に戻らざるを得なくなり自分の生活が壊れてしまうのではないかという恐怖。

カズヤさんに限らず、要介護者である親が亡くなってほっとするのは、ある意味、当然のこと。介護をしたからこそ感じる気持ちです。「冷血」などと自分を責めるのはやめましょう。

それに、再度一緒に暮らせば、「全部、担うことになる」というのは当たっていると思います。父親のときの主たる介護者は母親でしたが、母親の主たる介護者はカズヤさんになります。

介護保険のサービスを使っても、状況が悪くなると、同居していれば朝6時から夜9時半まで不在にすることは難しくなり、離職の決断をせざるをえなくなる可能性も出てくるでしょう。

 

そもそも親のために日に5時間の通勤時間をかけるというのはムリがあります。今後、もし母親の要介護度が上がったら、同居家族がいないことを大前提として介護保険のサービスを利用すればいいでしょう。同居家族がいなければ、ホームヘルプパーの家事援助的サービスを使うこともできますし、特別養護老人ホームに申し込んだ際の優先順位も上がります。その他にも、行政によっては1人暮らしの高齢者向けのサービスを用意しています。

「シングルは身軽」なんて、とんでもない。配偶者がいれば、身体を壊しても、もう一方が何とか頑張れることもありますが……。カズヤさんが再同居を拒否していることは賢明な判断だと思います。