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母から「冷たい息子」と呼ばれて、うつになった44歳男性の悲劇

父親を献身介護して看取った末に

私は90年代から介護の現場を取材し、そのリアルな現実や有益な情報を執筆や講演、NPO活動を通して紹介しています。

今回紹介するのは、仕事をしながら父親を献身介護したにもかかわらず、なぜか母親から嫌われることになってしまった息子さんのケースです。いったいなにが起きたのでしょうか。

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働きながら父の介護

都市部では通勤時間に1時間程(片道)掛かる人は珍しくありません。しかし、2時間30分となれば、少数派だと言えるでしょう。往復で1日5時間、相当疲れることが予想できます。

都内在住のカズヤさん(44歳:仮名)の通勤時間も、神奈川県北東部の勤務先まで片道1時間弱。しかし、昨年までの約2年間、茨城県の実家から通勤していたため、2時間30分ほど掛かったそうです。

理由は父親の介護のためでした。

 

実家では70代の両親が2人で暮らしていました。カズヤさんは1人っ子で、大学に進学したときに実家を出て1人暮らしを始めました。両親が元気だったときは良かったのですが、数年前に父親は脳梗塞で倒れて介護が必要になりました。幸い命はとりとめたものの、右半身にマヒが残りました。

介護保険のサービスを使い、母親が介護を行っていました。

「当初は、週末に帰省して、母を手伝っていました。しかし、だんだん母親が疲れている様子が見えるようになり。思い切って、実家に戻ったんです。僕は結婚していないし、身軽なので」とカズヤさん。

朝は5時に起きて6時に実家を出発。夜は、9時半頃に実家に戻る生活が始まりました。勤務先では、在来線分の定期代の支給しか認められないそうです。

「座れることが多いので、往復5時間の内、3時間は寝ていました。たまに2000円ほど出して新幹線に乗ることもありましたが、度々ってわけにはいきません」とカズヤさんは話します。